ブログリレー
数学科 依岡輝幸
みなさんは静岡の暮らしに慣れましたか。勤めて初めて静岡に来た僕は、生魚のおいしさにとてと驚きました。静岡のお刺身は何度食べても感動します。静岡と言えばまぐろだとみなさんお思いでしょう。まぐろも美味しいですが、静岡はかつおが絶品なのです。かつおといえばたたきだと思っていたのですが、静岡ではかつおをお刺身で食べます。厚めに切られたかつおのお刺身はもっちりとした食感で旨味も強いです。また、静岡の居酒屋さんの刺身に添えてあるわさびも絶品です。さすが日本のわさび発祥の地です。お刺身と一緒ではなく、すりおろされたわさびを箸先で少し摘んで、ほんの少しだけ醤油をつけて味わいます。こんな楽しみ方ができるのは静岡ならではです。
食感と辛味がうまい葉生姜、ぱりっとしたヒゲもうまい桜えび、近田先生おすすめの生しらす、行くお店は決めてあるおでん、酸味と甘みのバランスが特徴のみかん、コインロッカー式で販売されるいちご、高価過ぎて食べたことのないマスクメロンなど、静岡はおいしいものがたくさんあります(あと農学部のキウイも隠れた名産品です)。在学中に存分に楽しんでください。ただしお酒ははたちになってから。
さて、在宅授業が続き、勉強勉強の日々でみなさんお疲れでしょう。みなさんはどのように息抜きをしていますか。たまの息抜きに読書を楽しむ方も多いのではないでしょうか。何度読んでも心打たれる、そして読めば思わず万年筆を買いたくなる雫井脩介『クローズドノート』や、何度読んでも心打たれる、そして読めば美味しいケーキを食べたくなる雫井脩介『つばさものがたり』をはじめ、雫井脩介『ビターブラッド』、雫井脩介『犯人に告ぐ』、雫井脩介『銀色の絆』、雫井脩介『望み』など、この世は面白い本で溢れています。今回は足立恒雄『フレーゲ・デデキント・ペアノを読む』(日本評論社)を紹介したいと思います。
フレーゲ、デデキント、ペアノはいずれも自然数論の基礎付けを与えました。本書では三人の業績の解説にとどまらず,近代数学や論理学、それらの歴史背景も学べます。著作の発表順はフレーゲ、デデキント、ペアノなので、後で発表した方がより深く解明されているだろうと思いきや、そうではないところがこのストーリーの面白いところです(フレーゲとデデキントは理念が違いますから、この二人は比較できませんが)。随所に足立先生の考察が与えられているのも本書の特徴のひとつです。
科学を志すみなさんにはぜひデデキントの解説を読んでもらいたいです。足立先生の読みやすい文体で、楽しく読めます。ただし中身が易しいのでは決してありません。時には理解するために繰り返し読み込む必要があるでしょう。自然数論は数学の内容ですが、読むのに微積の計算が必要になったり難しい証明が出てくるわけではありません。歴史の本だと思って読むも良し、論理学の本だと思って読むも良し、読者それぞれの楽しみ方ができます。何度も繰り返し読んで楽しむべき本です。みなさんぜひ手に取ってください。