ブログリレー
数学科 田中直樹
一部の対面授業開始に合わせて、私にとって2回目のブログを書く機会となります。多くの科目で在宅授業が続きますが、皆さんの在宅授業の印象はいかがでしょうか。対面授業のように、要所での問いかけを通じ、皆さんの理解度を確認しながら進めることができず、やはり目の前に皆さんが居てこそ授業が成立するのだと痛感しています。数学の学習について直接伝える機会が少ないので、ここで参考になる本をご紹介します。その本とは、「いかにして問題をとくか」(柿内賢信訳、G. ポリア著:丸善株式会社)です。その本の中にある問いや注意に関するリストは、皆さんが問題を解く際の心得を必ず教えてくれると思います。また、大数学者であるボルツァノ、ライプニッツの考え方も紹介されています。その人たちが導いた定理を授業で扱っていますので、その考え方にふれながら、定理の持つ意味を考えてみてはいかがでしょうか。
今回は、私が大学時代に出会った中でも特に大切な3名の方を紹介したいと思います。1人目は、私を数学の研究の道に導いてくださった恩師です。1回目のブログで「自分を励ます言葉を心の中にもて(松下幸之助)」という私の好きな言葉を紹介しましたが、実は、私を励ます言葉の1つは、研究の原動力になる恩師の言葉なのです。よく「奇麗な定理には必ず応用はあるので、奇麗な定理を目指しなさい。」と仰っておられました。包括的で純粋な研究テーマに打ち込むことの大切さを教わり、好きな抽象的枠組みの構築に没頭でき、この道に進むきっかけとなりました。これを書きながら、改めて皆さんにとっての良き恩師になれているだろうかと自問しています。2人目は、企業で活躍している元クラスメイトです。公私に渡り助言をもらえる頼もしいお兄さん的な存在で、学部学生の頃から現在に至るまで交流が続いています。現在は、数理・データサイエンス教育プログラムの充実に向けて協力してくれています。3人目は、常にライバル的な存在であった元信州大学教授です。誕生日は数日の違いですが、残念ながら数年前に病気が原因で亡くなっています。切磋琢磨できる相手がいたことで、研究が行き詰まった時も頑張れたように思います。皆さんにも、これから先もずっと、よい影響をお互いに与えあえるような人と出会う機会を大学生活で得られることを願っています。
最後になりますが、写真の木の名前を皆さんはご存じですか。その木は、現在の大谷キャンパスに移る前に静岡大学があった場所に植えられています。5月初旬にとても綺麗な花を咲かせます。写真よりずっと奇麗で素敵なので、是非その場所を探して来年訪ねてみてください。
皆さんと対面で授業をするのはもう少し先になりそうですが、一日も早くお会いできることを楽しみにしています。