ブログリレー(大吉崇文)

ブログリレー

化学科 大吉崇文

理学部、理学専攻の皆さん

4月から新しい学年が始まって二ヶ月以上経ちましたが、いかがお過ごしでしょうか。静岡大学は6月8日から対面授業を再開できたものもありますが、多くが在宅授業のままとなっており、みなさんには不自由をお願いしており申し訳なく思っています。在宅授業を積極的に取り入れられている方がいる一方で、在宅授業に馴染むのが難しい方、これまでの対面式授業とは勝手が違っているので戸惑っている方、授業内容が理解できているか不安な方、このままで後期の授業が理解できるのだろうかと心配な方、いろいろな学生さんがいるかと思います。また、対面授業の再開にあたって環境の変化に不安をおぼえる人も多いのではないでしょうか。私も変化に臆病な1人です。

学部4年生で研究室配属されて以来、私はDNAの研究に関わっていますが、この約20年ちょっとの間で核酸に関わる研究だけでも多くの変化がありました。少し挙げると、2003年に「ヒトゲノム計画」というプロジェクトが終了して、ヒトがもつDNAのすべての配列を明らかにされました。「RNA干渉」という現象が発見されて2006年にノーベル賞が授与されました。(興味がある人はぜひ調べてみてください)今やDNAは1分子さえあれば、その配列や性質などを解析できるレベルまで技術が発展してきました。そしてこうしている現在も、COVID19の原因となるSARS-CoV-2というウイルスのRNAの配列が決定され、どんな構造をしているかがNatureやScienceなどの一流科学誌に数多く掲載されています(Nature: Isolation of SARS-CoV-2-related coronavirus from Malayan pangolins, Science: Structure of the RNA-dependent RNA polymerase from COVID-19 virus)。科学の世界の変化は凄まじいです。その度ごとに、自分が進めている研究を見返したり、修正したり、いいところは取り入れてみたり、その変化に対応しなくてはいけなくなります。

正直、変化は怖いです。でも、そのような中でも揺るがない自分の信念というか、軸があります。例えば、私の場合でしたらDNAの本質ってなんだろうという疑問です。それは人によっては、2003年にわかったDNAの配列でしょ?っていうかもしれません。しかし、私はそうではないと思っています。それは間違っているかもしれないし、正解かもしれない、今のところ私もわかりません。変化が大きく、心が乱れそうな時代だからこそ、一生かかるかもしれない謎解きに出会えた幸運に感謝しつつ、信じて日々楽しく過ごしていきたいと思っています。DNAについて語りたい学生さんがいましたら、いつでも歓迎します。