コロナ禍以後における大学生の成績決定要因(2022年12月~2023年1月)

1. 研究の概要

本調査は、2022年度卒業論文において、コロナ禍以後の大学生のどのような要因が成績を決定するかを明らかにし、多くの学生の成績向上の手がかりを探ることを目的として実施された。調査の概要は以下の通りである。

調査名:大学生の成績決定要因に関するアンケート

調査対象:静岡大学情報学部の3、4年生

調査方法:Googleフォームを用いたWebアンケートによる調査

調査期間:2022年12月27日(火)~2023年1月19日(木)

回収状況: 3年生46名、4年生51名、計97名の有効回答。有効回答率は15%

分析方法:数量化Ⅰ類

回答者の属性:回答者は有効回答数97名のうち、51名が4年生、46名が3年生であった。学科は、情報社会学科47名、情報化学科27名、行動情報学科23名、性別は男性67名、女性29名、その他1名という結果になった。

調査項目:
オンライン授業の割合
オンライン授業を対面授業以外のライブ配信型およびオンデマンド配信型の授業と定義し、全てオンライン、対面もあるがオンラインが多い、半々くらい、オンラインもあるが対面が多い、全て対面の5つの選択肢から回答してもらった。
勉強部屋の有無
家で勉強する際に自分だけの勉強部屋が確保できたかをはい、いいえの2択で回答してもらった。
大学の友達との交流頻度
一週間当たりの大学の友達と交流した平均的な日数を、0~1日、2~3日、4~5日、6~7日の4つの選択肢から回答してもらった。
アルバイト時間
一週間当たりの平均的なアルバイト時間を5時間未満、5~10時間未満、10~15時間未満、15時間以上の4つの選択肢から回答してもらった。
授業出席状況
履修した全科目の中で全15回中12回以上出席した科目が占める割合を授業出席状況として尋ね、60%未満、60~80%未満、80~100%未満、100%の5つの選択肢から回答してもらった。
2020年度GPA
自由記入形式で2020年度GPAを回答してもらった。回答にあたって小数第二位を四捨五入するものとした。

2. 調査結果のまとめ

2020年度GPAを目的変数として、数量化Ⅰ類を行った。重相関係数は0.67、重相関係数の2乗は0.48であり、このモデルの当てはまり具合(説明力)はあまり高くないが,低すぎるというほどでもないため有効なモデルとみなす。また、本モデルでは説明アイテム間の単相関係数はどれも小さいため、説明変数同士は独立しており、モデルとして安定している。多重共線性の問題もない。分析結果が図表1のカテゴリースコアである。また図表2は、カテゴリースコアの最大値・最小値の差(レンジ)をグラフ化したものだ。数量化Ⅰ類では、レンジが大きいほど、目的変数(GPA)に及ぼす影響が大きいといえるが、「授業出席状況」のレンジが突出して大きいことから授業出席状況は成績に有意に影響を与えていると言える。授業出席状況が『60%未満』の人は、GPAが低い傾向にあり、授業出席状況が『100%』の人はGPAが高い傾向にあるようだ。次いで、「オンライン授業の割合」、「アルバイト時間」、「大学の友達との交流頻度」という順に成績に影響を与えているが、レンジが小さくそれほどGPAに影響を与えているわけではないようだ。「オンライン授業の割合」に関して、『対面とオンラインが半々くらい』と答えた人のGPAは低い傾向にあり、『対面もあるがオンラインが多い』と答えた人のGPAは高い傾向にある。アルバイト時間は『15時間以上』と答えた人のGPAは高い傾向にあり、『10~15時間未満』の人は低い傾向にある。友達との交流頻度は、『2~3日』の人はGPAが高い傾向にあり、『4~5日』次いで『0~1日』の人は低い傾向にある。「学年」や「勉強部屋の有無」についてはレンジが小さくほとんど影響を与えていない。

今回の調査では、コロナ禍以後における大学生の成績決定には、「授業出席状況」が大きく関係しており、授業に出席するほど成績が良くなる傾向にあることが分かった。

Last updated: 2024-02-16