(以下の記事は、情報社会学科が2学科制の際の【私の卒業研究】です。現在の3学科制の情報社会学科とは扱う内容が一部異なりますが、参考までに掲載します)
卒論の内容を紹介してください。
私の論文は遠州地域を中心とした電子自治体の動向調査研究です。卒論の流れとしては、まず自治体とはそもそも何のために存在するのか、自治体の本旨を法律の点から考察しました。

次にIT時代へ向けた政府の対応を調査し、電子自治体によってどのようなことが実現されるのかまとめてみました。それらをふまえた上で、各市役所へ訪問調査へ出かけ、遠州地域の情報化がどこまで進んでいるのか調査しました。
「電子自治体」という問題に取り組んだ理由を教えてください。
自分が興味を持っていたテーマであったというのが第一で、昨年の住民基本台帳ネットワークの導入や合併問題など、タイムリーなテーマであったのが取り組んだ理由です。
これまでの関連する研究と比較して、M・Wさんのこの論文の長所はなんだと思いますか? また、反省点は何ですか?
訪問調査がうまくいったのがよかったです。調査に行く以前の段階である程度関連する文献などを読み、自分なりに卒論の枠組みが完成していたので、うまく調査結果を卒論でまとめることができました。また、それぞれの市がもつ地域性が調査によって浮き彫りになったのがよかったと思います。反省点としては各市の情報化に関するデータの比較という視点において調査しておけば、もう少し深い内容の卒論になったのではないかと思います。
この論文を書くに当たり、多くの自治体に調査に行っていますが、調査の過程で苦労したことはなんですか? あるいは、印象に残ったことはなんですか?
訪問調査の場合、相手の都合もあるので何度も足を運ぶのは難しく、できれば1回か2回の訪問で自分の知りたいことを聞き出さなければならず、質問項目を事前に考えるのに苦労しました。印象に残ったことは、同じ遠州地域とはいえ、市が違えば市役所の建物から、政策方針までまったく違った特徴をもっているということです。それぞれの市が持つ地域性というものがわかっておもしろかったです。
自治体の合併が全国で行われています。合併後の電子自治体のあるべき姿について、意見はありますか?
合併というのは市民にとっても、市の職員にとっても歴史的な変化であるといえます。これをよい機会として、これまでの古い体制を思い切って変更する努力が必要であると思います。文書管理や、セキュリティーポリシーなど合併後の新たな自治体見合った改善をして欲しいです。
卒論を書くに当たって、後輩になにか助言はありますか?
自分が興味を持てるテーマ選ぶのが一番だと思います。卒論のテーマはある程度自分で決めることができるので、自分が調べたい、知りたいと思えるテーマを選べば論文作成は楽しいものになると思います。
八重樫先生の指導でどういうことが役に立ちましたか?
この卒論を書き始める前は電子自治体に関する知識がほとんどなかったため、どのような卒論にするのかその枠組み作りにおいて、大変協力していただきました。訪問調査を行う場合学生だけで行くのはなかなか難しく、毎回同行していただき、それによってより深い調査を行うことができました。
主査・副査の先生の評価はどうでしたか?
自分ではよい評価がいただけたと思います。

卒業後、この論文でまとめたことをどう生かしたいですか?
電子自治体の動向は今後ますます新聞やテレビで目にするテーマだと思うので、今後どのような方向に進んでいくのか注目し、この卒論で勉強したことをもとに、一市民として自分の意見が言えるようになりたいと思います。
情報社会学科で学んだこと・得たことはなんだと思いますか?
文系の人間がコンピューター社会を見る視点というのを学びました。理系のプログラマーと完全な文系の研究者との間に立ち、両方をうまくリンクさせる。これからの社会においてますます必要とされる人材だと思います。
指導教員講評
指導教員:八重樫純樹
完璧な文系人間でした。3年次後半にカナダに語学留学し、半年後タイに渡って東南-東北アジアを巡ってきました(1年間休学)。
貿易系に就職希望で、一発で決めました。当初はデジタルアーカイブ系調査研究希望でしたが、行政の合併や情報化動向が急速であり、私の勉強も含め、このテーマを薦めました。研究室として新たな領域への開拓で、研究の枠組み作りと基本データの収集が一番重要でした。彼はそれをしっかり受けとめ、遂行し、良いデータを残してくれました。
もう少し早くから実際の自治体の活動実態について学んでおくべきでしたが、これは私の責任です。以降も研究室として地域情報化の調査研究は継続してゆきます。これを契機に反省を含め、色々指導方法も考えます。これから自治体の合併がITとの関わりの中で本格化します。日本全体が動的に大きく変わります。この卒研はその第1歩なのです。彼の人生も必ず関わってゆくはずです。人生を通したテーマとしてもらいたいと思います。
取材・編集:Y(2003/03/12)