【私の卒業研究】 K・Nさん 「浜松市におけるコンビニエンスストアの立地要因についての研究」

   (以下の記事は、情報社会学科が2学科制の際の【私の卒業研究】です。現在の3学科制の情報社会学科とは扱う内容が一部異なりますが、参考までに掲載します)

卒論の内容を紹介してください。

浜松市におけるコンビニエンスストアの立地について研究を行いました。
浜松市はコンビニエンスストアの1店舗あたりの人口が臨界値である3,000人をきっているため、コンビニエンスストアの飽和説が当てはまります。ゆえに、浜松市におけるコンビニエンスストアの飽和説を検討することを最終課題にしました。

まずは浜松市に存在するコンビニエンスストアの立地状況を把握し、その特性を分析しました。そして、主要な立地要因を選定してコンビニエンスストア立地の重回帰分析を行い、コンビニエンスストアが多すぎる地区と少なすぎる地区について、その要因を検討しました。

その結果、浜松市においてコンビニエンスストアの飽和説が成立しないという結果を導き出しました。

「コンビニエンスストアの立地要件」に取り組んだ理由を教えてください。

 コンビニエンスストアは私たちの生活に深く浸透し、日本全国どこへ行っても見かけるようになりました。その中で、身近な存在であるコンビニエンスストアに漠然と興味をもち、どのような場所に立地しているのかという疑問を抱くようになりました。そこで文献を読んで調べてみると、コンビニエンスストアの飽和説が浮上しているということを知って益々興味が出てきたので、卒業研究として自分なりに詳しく追求してみたいと考え、このテーマに取り組むことに決めました。

これまでの関連する研究と比較して、あなたのこの論文の長所はなんだと思いますか? また、反省点は何ですか?

コンビニエンスストアの立地に関する研究で、飽和説をテーマにした研究は今までにないので、新しい試みであったと思います。また、メッシュ地図を用いることで、コンビニエンスストアの立地分布を、人口や世帯特性など様々なデータと比較することができたので、立地要因の詳しい研究ができました。
反省点としては、廃業店との関連も含めて研究を行えば、さらに説得力のある論文に仕上がったと思うので、そこまで手が及ばなかったことが残念です。

この論文には、授業では習わないはずの分析手法が数多く使われていますが、どうやって身につけたのですか?

私の卒業研究の副査を担当してくださった西原先生に分析手法のアドバイスをいただき、分からないことは教えてもらいながら研究を行いました。私一人の力では、ここまで仕上げることができなかったと思うので、西原先生には深く感謝しています。

3つのコンビニエンスストア会社にインタビューしています。その過程で得られた知見や興味深かったことは何ですか?

あるコンビニエンスストア会社の店舗開発担当の方が、コンビニエンスストアの立地地点を決定するまでの過程を話してくださったのが興味深かったです。
コンビニエンスストアに最適の土地を探し出し、その地点に店を置くことを会社側に説得する際の苦労話などを聞くことができました。

また、コンビニエンスストア業界には、立地戦略以外にも興味深いことがたくさんあります。例えば商品の陳列方法や、POSデータの利用方法、時間別の客層データなどです。私は立地について研究をしましたが、コンビニエンスストアの経営戦略についての研究は多種多様であり、どのテーマでもおもしろい研究が可能だと思います。

卒論を書くに当たって、後輩になにか助言はありますか?

なるべく早い時期に取り組むことが大事だと思います。私は真剣に取り組むのが遅過ぎたために深く追求する時間がなく、やり残したことがたくさんあります。卒論は大学生活で最後の勉強であり、しかも独自の研究ができるので努力をすればそれだけ自分に返ってくるものだと思います。手をぬくことよりも、努力することを勧めます。

コンビニエンスストアは今後、どう変わっていくと思いますか?

卒論の中では、浜松市においてコンビニエンスストアの飽和説は当てはまらないという結論を導き出しましたが、飽和状態に近づいていることは確かだと思います。今後は新規出店が当分続くとは思いますが、それと同時に廃業店も増加すると思います。そして近いうちにコンビニエンスストア業界も安定期に入り、店舗の増減が落ち着いてくると考えます。

主査・副査の先生の評価はどうでしたか?

本格的に研究を始めるのが遅れたために、先生方には大変迷惑をおかけしましたが、短期間での私の努力は認めてくださり、誉めていただけたのでよかったです。

卒業後、この論文でまとめたことをどう生かしたいですか?

卒論の内容を生かすというよりも、卒論に取り組む過程で得たものを生かしたいと思います。何よりも、努力することの大切さ、努力をしてやり遂げることの清々しさを改めて実感しました。

情報社会学科で学んだこと・得たことはなんだと思いますか?

幅広く学ぶことができる学科であるため、自分が何を学びたいか、何をしたいかを常に考えなければいけない学科であると思います。したがって、「考える」力を習得できたと思います。

指導教員講評
指導教員:藤井史朗
コンビニエンスストアの立地戦略というテーマであり、何らかの数量化的分析が必要であったので、副査の西原先生に事実上の指導をお願いした。そのおかげもあって、先行研究のフォロー、問題設定、仮説構築、分析方法の明示、分析と考察の全体にわたって大変シャープな論文となった。特に、浜松市へのコンビニの立地について、数量的傾向から外れている地域に対する具体的な考察をしているところがおもしろい。また、静岡大学周辺にコンビニが不足している、という指摘は、直後に大学周辺にコンビニが立地したことによっても証明された。

取材・編集:I(2003/03/23)