【中間発表】テザー衛星STARS-Xの姿勢制御に関する研究

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氏名:服部航平
タイトル:テザー衛星STARS-Xの姿勢制御に関する研究


こんにちは。M1の服部です。

能見研究室では、50kg級人工衛星STARS-Xの開発を行ってきました。
その中で私は、電装系全般を担当しています。

私の研究の目的は、4つあります。

①理論モデルにSTARS-Xの諸パラメータを適用し、特に親子分離時(during deploy)において、テザーと衛星が絡まることなく、2km伸展できるような制御方法の提案
②MBD(Model Based Development)を用いた人工衛星開発の手法の提案
③グラフィカルな汎用的な地上局の構築(と地上局システムによる宇宙人材の開発)
(④OSを搭載した人工衛星ソフトウェアによる開発速度向上)

STARS-Xは、(a)宇宙エレベータのテザーの挙動等の実証実験と(b)宇宙デブリの捕獲というミッション(目的)があります。

STARS-Xの外観図©能見研

ミッションのシーケンスとしては、以下の図の通りです。
特に私の研究においては、(a) 親子分離(deploy)の制御について着目しています。


ミッションシーケンス©能見研


過去にテザー衛星の姿勢や制御に関する研究は多く行われています。
それらの研究との差異は、使用するアクチュエータがほとんど自分たちで開発されたものということです。主にアクチュエータとしては、リアクションホイールとリール(テザーの送り出しを行う機構)

例えば、リアクションホイールというアクチュエータは、私が理論計算を行い仕様値を出し、先輩が構造の選定を行いつつ、企業と連携して開発を行いました。
しかし、自分たちで開発した故に制御器としてのモデルも不明です。


リアクションホイール©能見研

このリアクションホイールを実験を通して、システム同定を行いつつ、モデル予測制御を行えるようにしようとしています。(現在は理論を勉強中です。)


開発したアクチュエータを用いて衛星の姿勢制御を行います。テザー衛星のモデルは下図の通りです。

モデル

ここで、制御はフィードフォワード制御やフィードバック制御を行うため、衛星の角速度や位置が必要です。しかし、座標系を気を付ける必要があります。
例えば、ジャイロセンサの値は機体座標系での値ですが、GPSによる測位のデータはECEF座標で得られます。これらを正しく座標変換して扱うことが必要です。

また、リアルタイムで得られる値は大きなノイズが載っていることが多い。
GPSによる測位では、50m程度の誤差が含まれる。

これらの事柄から、STARS-Xの姿勢制御を行うためには、動力学モデルをSTARS-Xに適切に適用する必要がある。そして、適用した上で適切な制御方法を提案する。


また、上述した実際の機器やアクチュエータに非常に近いモデルを用いてシミュレーションを行うことで、開発フローの手戻りを減らすことができる。この手法は、MBDと呼ばれている。
人手不足の大学衛星等の開発において、効率よく開発を行えるのではないかと考える。
(STARS-XはV字型モデルでの開発をしてきたが、設計時の検討が足りていなかったと感じている。
本研究において、STARS-Xを適切にモデル化できるのであれば、MBDを用いて開発がよいものになるのではないかと考えている。


そして、このMBDにおいて、グラフィカルなシミュレーションを行うことを考えている。
具体的には、Unityを用いたシミュレーション(または表示のみ)を行う。
可視化するで検証することができることがMBDの良い点であるので、その可視化を衛星の運用に使用しようと考えている。
グラフィカルでない地上局ソフトを以下に示す。

地上局ソフトの簡易例

このようなCUIライクの地上局ソフトでは、MBDや地上局の運用として不十分ではないかと考える。よって、グラフィカルな表示システムを構築しようとしている。

また、このシステムを用いて宇宙人材の開発が行えるのではないかと考える。
MBDのメリットでもある可視化して問題を考えるということから、想像しがたい衛星の挙動について理解を深めるとともに、次世代の人材を育てることができる。


最後に④のOSを搭載した衛星システムについては、検討段階であるので割愛する。

イメージとしては、各デバイスを抽象化して使用できるようにすることで、開発のスピードの向状させるということである。

特定のデバイスごとにプログラムを書き換えていては、非常にコストと時間が掛かってしまう。
また、宇宙系の学生においてソフトウェアというのは実験における障害の一つではないかと思う。