いつも第50回若手ペプチド夏の勉強会のHPをご覧いただき、ありがとうございます。
今回は第50回若ぺの特別講演③でご講演いただく小出隆規先生のインタビューをご紹介させていただきます。
小出隆規先生は世話人②(シンガポール産)の京大薬品有機製造学分野の大先輩で、日頃から大変お世話になっております。東京の中心にある早稲田大学先進理工学部化学科に在籍し、コラーゲンを中心にしたペプチド科学を幅広く展開されています。世話人が所属する静岡大学工学部にも講演に来ていただきましたが、コラーゲンの基礎から応用まで、難しい科学のお話をわかりやすく、わかりやすいお話をとても面白く教えてくれました(世話人②はTailor-made collagenのプルプルが忘れられません)。それではコイデル先生のインパクトの強いインタビューをどうぞ。
1)現在、どんな研究をされていますか?その研究との出会いについても教えてください。
研究テーマ 「学生の気質、行動パターンと、ラボでの研究活動におけるパフォーマンスとの関係」(図1)
図1. 小出研の研究テーマ(小出先生よりいただきました)
研究との出会い? 毎年いろんな奴がくるからなあ・・・・(図2)
図2. いろんな奴がいるかなぁ・・・(原文のままです)
2)今後どのように展開していきたいですか?
5分面談しただけで、できる奴とあかん奴を見分けられる方法を見出し、それをこっそりほかの大学教員に伝授して、深く感謝されたい。
3)あなたが尊敬している科学者を教えてください。またその理由は?
この人、という特定の人物はいない。新しい視点、きれいな切り口、独自の思想、びっくりするような結果、他の追随をゆるさない技術、魅力的なプレゼンなどなど、自分が持っていないものを持っていて、それらを見せてくれる人すべてを尊敬する(なのでかなりたくさんいる。20人くらいはすぐに言える)。その一方で、思考停止のまま不要な研究を垂れ流すような研究者を軽蔑する(こちらも結構いる)。
4)研究能力の中であなたが最も大切だと思う能力を1つ教えてください。またその理由は?
現代の科学、とくにグループで行う実験科学は、たったひとつの能力に秀でていたからといって、何らかの成果をあげられるようなものではない。読み書きそろばんに始まり、誠実さ、勤勉さ、粘り強さ、手先の器用さ、体力、よく見える目(視力の話ではない)、論理構成力、情報収集能力、情報伝達能力など多くの能力が総合されて研究能力となる。
ただ、あえてひとつをあげるとしたらそれは、「面白がる能力」である。
「おお、これおもろいやん!」
「ねえねえ、こんなことやったらおもろいんちゃう?」
ただし、この能力を鍛える術があるのかどうか、私は知らない。
5)若手研究者に特に伝えたいことを教えてください。
まず、研究は変態的な仕事です。変態ほど優れています(ベクトルによりますが)。変態と言われて喜べなければあなたは研究者に向いていません。研究者という職業は、決してファッションで選択すべき進路ではありません。HPLCのシングルピークを見て涙を流したり、美しく青きPAGEのバンドをみてイってしまったり、夢の中でサルがベンゼンになったり、トラがバターになったりといった、超常的体験をしたことがある者のみに許された職業です。ただ現実として、巷の研究者には、「ほんまもん」と「にせもん」がいます。師匠や共同研究者を選ぶ際には、その点をよく見極めてください。
簡単です「あなたは変態ですか?」と尋ねればよいだけです。