活動内容

話林研は、地域の語り・方言・口承文芸を「聞き書き」によって記録・保存・継承し、教育・地域振興・国際発信へとつなぐ実践的な研究活動を行っています。


① 語りデータの収集・記述

地域の方言話者・語り部・外国人住民へのインタビューを通じて、声・語彙・文法・物語を多層的に記録します。

  • 音声・映像・筆記による多層的記録
  • 方言話者・語り部・外国人住民へのフィールドインタビュー
  • 語りの形式・語彙・構文の記述言語学的分析
  • デジタルアーカイブへの整備・公開準備

② 山口幸洋・鈴木暹 音声資料の活用

先人が残した貴重な語り・方言音声資料を整備し、現代の語りとつなぐ研究を進めています。

  • 山口幸洋博士の方言音声資料のデジタル化・目録作成・検索性向上
  • 鈴木暹による昔話採集資料の整理・保存
  • 現代の語りとの比較分析
  • 教育資源への展開(教材・ワークショップ等)

③ 教材開発・教育実践

語りを活かした体験型ワークショップや教材を開発し、小中学校・市民講座・大学教育への導入を進めています。

  • 語りを活用した体験型ワークショップの実施
  • 小中学校・市民講座向け教材の制作(語り台本・紙芝居)
  • 若者のライフストーリーを語り資源として活かす教育プログラム
  • 探究学習モデルの構築・高校・大学との連携

④ 地域農業・生活文化との統合

農耕伝承・食文化・在来作物の語りを記録し、地域ブランドづくりや観光振興に応用します。

  • 「語り×農業」活動(農耕伝承・ブランド作物の聞き書き)
  • 静岡おでんをはじめとする食文化の語りの記録・多言語発信
  • 天城甘茶・熱海だいだい・井川茶など在来作物の来歴調査
  • 語りを活用した観光・地域ブランドづくり支援

⑤ 留学生・外国人住民との共創

日本に暮らす外国人住民の語りを聴き、留学生が記録・翻訳することで、多文化共生を実践します。

  • 外国人住民の語りの採集・事例化(川根本町・静岡市等)
  • 留学生による語りの記録・翻訳(母語+日本語)
  • 多言語アーカイブの構築(ベトナム語・英語・中国語など)
  • 外国人住民の住みやすさ向上に向けた語り活用の実践

⑥ 聞き手の育成

語り手の声を引き出す「聞き手」を育てることが、語りの継承の核心です。

  • ワークショップ・実地指導による聞き書き技術の習得
  • 録音・文字起こし・構成・校正の一連のプロセスの指導
  • 語り手との信頼関係の構築・地域団体との連携
  • 学生・地域住民を対象とした「語り手・聞き手」育成プログラム

⑦ 語りの国際発信・イベント運営

国内外の研究者・実践者とのネットワークを活かし、語り文化を世界へ発信します。

  • 方言・無形文化遺産国際シンポジウムの開催(2025年11月、静岡大学)
  • 中国平江・皮影戯(影絵芝居)の日本公演の実施
  • 海外大学(武漢大学・上海東華大学等)との共同研究
  • 成果発表・地域還元・展示企画の運営
  • UNESCO文化遺産保存事業・国際オーラルヒストリー学会との連携推進

教育効果:学生が獲得する5つの資質

語りを聞き、記録する過程で、学生は以下の5つのスキルを習得し、大学での学びを深化させます。

🔎
調査力

信頼関係を築き、生の声を引き出す「聞き書き」の技術

📊
分析力

民俗学・福祉学・農学等の多角的視点によるデータ整理

💡
課題解決力

外国人住民の住みやすさ向上など、地域課題の発見と提案

🤝
コミュニケーション力

多世代・多文化間での協働による共感能力の醸成

✍️
表現力

語りの文章化、多言語翻訳、教材(紙芝居等)制作

これまでの歩み

話林研の活動は、長年にわたる調査・資料整備・語り採集の積み重ねの上に立っています。

2004年

静岡県静岡市油山・松野・津度野の口頭伝承調査

堀博文

2006年

明治以降の静岡県方言に関する文献目録作成

堀博文

2007–2008年

山口幸洋博士の寄贈図書受入・目録化

堀博文

2014年

静岡県静岡市千代田方言の記述研究

堀博文

2018年〜継続

静岡県内農家等へのフィールド調査・語りのテキスト化

松本和浩

2020年〜継続

語り会の実施(伊豆・井川・福島)

鈴木暹・谷口ジョイ

2021年

『牧羊神』同人・山形健次郎インタビュー

堀江秀史

2022年〜継続

山口幸洋博士の音声資料のデジタル化・目録化

張盛開・堀博文

2023年〜継続

井川集落での聞き書き・語り・昔話の採集及びテキスト化

谷口ジョイ

2024年〜継続

地域課題解決プロジェクトで留学生による聞き取り試行。地元温泉・昔話の語り採集・外国人住民語りの事例収集

張盛開

2025年

聞き書きの実施・エッセイでの発信

原瑠璃彦
2025年10月

聞き書き・語りの森研究所(話林研)設立

静岡大学プロジェクト研究所

聞き書きのプロセス

話林研の聞き書き活動は、次のステップで進めます。

ステップ 内容
① 聞き手の育成 ワークショップ・実地指導で語りを引き出す技術を習得
② 語り手との関係構築 地域団体との連携、信頼関係の積み上げ
③ 聞き書き・記録 録音・映像撮影・文字起こし・構成・校正
④ アーカイブ化 デジタル保存・多言語化・公開準備
⑤ 語りによる伝承 教材化・イベント・展示による地域への還元
⑥ 国際発信 多言語翻訳・海外研究者との交流・国際シンポジウム