ブログリレー(竹内浩昭)

ブログリレー

生物科学科 竹内浩昭

前回の投稿20/05/07から1ヶ月経ち、非常事態宣言が解除された静岡がいつもの日常を取り戻しつつありますが、静岡大学関係者の皆さんはどうお過ごしでしょうか?

今回も、自然豊かな静岡キャンパスの動物を紹介しましょう。

平成が始まりしばらく経った頃、静岡大学のとある先生からキャンパス内でモリアオガエルの産卵が見られるという話を聞きました。モリアオガエル(分類:両生綱無尾目アオガエル科;学名:Rhacophorus arboreus;英名:forest green tree frog)といえば、とある場所で絶滅危惧種や絶滅危惧II類、準絶滅危惧種に指定されているという稀少種。そんな希少種の産卵がキャンパス内で見られるとは、さすがは自然豊かな静岡大学!

感動を覚えた時から20年ほど経ってしまいましたが、2010年頃からちょっとまじめに調べ始めました(調査メンバー:NT,MT,HT,サポート:静岡倶楽部,山﨑自然科学教育振興会,JST次世代科学者育成プログラム,JST-GSC未来の科学者養成スクール)。その調査の一部を紹介したのが、20/05/12掲載のブログ「4月下旬には産卵のためにモリアオガエルが森から出てきて…、ゴールデンウィーク〜6月中旬には木に産みつけられた泡状の卵塊が…。」でした。

今回は、まず、2010-2018の継続調査で確認した学内産卵場所7箇所(Fig.1)とそこでの卵塊確認数(Table 1)をご覧下さい。航空写真で見る静岡大学は緑の多さが際立っており、いかにも多様な生き物が棲息していそうなところです。

モリアオガエルの産卵シーズン4月末〜7月初旬で、改修工事や薬剤散布の影響で産卵が確認できなくなったところもありますが、多いところでは1シーズンに20個以上の卵塊が確認できました(Table 1, Fig.2, 3)。

2019年1月公表(Table 1)後の調査では、2019年にはSite[3]で3件、Site[6]で2件、Site[7]で19件、2020年(6月9日現在*1)にはSite[6]で3件、Site[7]で19件の産卵が確認できており、環境変化に対応しながら静岡キャンパスに棲むモリアオガエルの生態が伺えます(Fig.4)。
*1 2020年7月1日現在の卵塊確認数:Site[3] 1件、Site[4] 2件、Site[6] 5件、Site[7] 38件。

静岡キャンパスの自然は、大学関係者に憩いの場を提供してくれるだけでなく、科学者の卵である小中高校生に科学研究の場を提供してくれる貴重な資源といえます。ぜひ活用ください。

なお、モリアオガエルやJST-GSC未来の科学者養成スクール(FSS)については、下記サイトをご覧下さい。

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