お問い合わせQ & A

3年生までの受け身の講義とは違い、研究室では自ら発見、開発、改良しなければなりません。また。研究には3つの大事な「P」があります。 それは、(1) Planning (計画) (2) Performance (実証、実験) (3) Publication (Presentation) (投稿、発表)の3つです。この3つを在学中に修得することが君たちのしなければならないことです。当然、現時点では、いろいろな不安が渦巻いていることと思います。このページを読めば、そんな君たちの不安や疑問が、少しは解消されると思います。

 

問い合わせ先

間瀬暢之 (MASE, Nobuyuki)
E-mail:mase.nobuyuki@shizuoka.ac.jp

間瀬研究室Q&A

Q:どんな研究をしているのですか?

A:合成・反応・触媒・プロセスの研究をしており、「有機合成化学」を基盤とし、「基礎研究から応用研究」をしています。
すべての項目を一人の学生さんが研究することはまずありませんが、研究室で誰かが取り組んでいますので、これらを見聞きする経験は学生さんにとって、今後の財産となっています。

  1. 機能性分子や生理活性物質などのファインケミカルズをどのように合成するか?(1999年以降に合成した化合物)
  2. これまでにない新しい反応を開発できないか?
  3. 極めて効率的な触媒を設計できないか?
  4. 工業化を指向した実用的な装置を開発できないか?
  5. 1-4を達成するために「総合的な合成力」が必要です

また、合成した物質は静岡県立大学薬学部のご協力により創薬スクリーニングを行い、医薬・農薬等のリード化合物探索を行なっています。
さらに、酵素阻害剤などの生理活性物質を合成するだけでなく、他大学・他研究機関と連携して、その活性ならびに生成メカニズムの解明にも取り組んでいます。
なお10ステップぐらいの合成を手分けして行うこともあります。

これらの研究を通じて、「基礎から応用まで貢献できる人材」、そして、「自立した、実力のある即戦力の育成」を目指しています。

現在進行中の研究テーマ

  1. バイオインスパイアード有機分子触媒による環境調和型物質合成

    Green synthesis by use of bio-inspired organocatalysts

  2. OFF-ON型蛍光センサーによる新規触媒探索法の開発

    Development of screening method for superior catalyst utilizing OFF-ON fluorescent sensor

  3. 超臨界二酸化炭素と有機分子触媒を利用したポリ乳酸の高純度合成技術

    Organocatalytic synthesis of highly pure polylactic acid in supercritical carbon dioxide

  4. マイクロバブル・ナノバブルを用いた新規有機合成手法の開発

    Development of novel organic synthetic method with micro and nanobubbles

研究概要ポスター

Q:どうして「総合的な合成力」が必要なのですか?

A:「総合的な合成力」がなければ、

  1. 新しい分子を創製できない
  2. 新しい合成法を確立できない
  3. 新しい装置を開発できない
  4. 合成プロセス全体を総合的に判断できない

からです。

近い将来、基本的な操作(反応、抽出・洗浄、精製)は機械がするようになります。これは、効率性だけでなく、従事者の安全面からも推進されると考えられます。ですので、基本的な操作を習得することを目的とした作業の重要性は相対的に低下し、基本的な操作ができるだけではアピールポイントになりません。しかし、機械を操るのは人間です。合成するためにどのような反応プロセスが必要かを判断するには合成力が必要です。さらに、どのような分子をデザインし、それをどうやって合成し、そして世の中にどうやって還元できるかをプロデュースするには総合的な合成力・判断力が必要です。将来の自分への投資、そして科学の発展に貢献という使命を、学生さんと分かち合えたらと思います。

Q:研究体制はどのようになっているのですか?

A:現在、スタッフとして間瀬暢之教授がいます。学生として修士6名程度(M2:3名程度、M1:3名程度)、4年生3名程度がいます。総勢10名程度のグループで研究しています。教員の部屋はオープンで、学生さんはいつでも議論や相談できるようになっています。実験部屋はすべての操作が一部屋でできるように、よく整理されています。また、平成15年に改修したため、現在は新築のような実験環境で研究をしています。

2013年4月から教授 渡辺修治先生 (生物有機化学)、准教授 戸田三津夫先生 (環境関連化学)、2013年10月から准教授 鳴海哲夫先生(創薬化学・ケミカルバイオロジー)、2015年4月から助教 佐藤浩平先生(ペプチド化学)と共同して研究室を運営していますので、種々の研究分野を深めることができると思います。

Q:研究報告など研究行事はどのように行われていますか?

A:研究報告、長期休暇前に中間研究報告を行っています。このように、教員と学生さんの間で密に研究のやり取りをすることにより、世界に通じる人材を育て上げようとしています。学生さんもプロジェクターを用いて発表し、自分の研究成果を効果的にアピールすることを学んでいます。そして、活発な議論を交わすことにより、さらに上のレベルの研究成果が出るように日夜努力しています。4年生の学生さんは、夏休み前までは研修期間として基本的なことを修得し、夏休み後は研究者になれるように指導を受けていますので、夏休み前まで猛勉強しています(結構、みなさんがんばっていますよ)。

Q:大学院進学状況および就職状況はどのようになっているのですか?

A:大学院へは毎年、2~4名程度が進学します。近未来に高校卒業者が大学へ全員進学できることが影響しているのか、大学院進学希望者は増えてきています。確実に進学するには、自己推薦型入試の制度を利用したほうが良いと思います。後悔しないためにも、3年生までの講義をしっかり身につけてください。就職状況は化学系、製薬会社など研究室で身に付けた専門の技を活かしている人もいます。化学以外の仕事でも皆それぞれ研究室で身につけた貴重な経験を生かして頑張っています。はっきり言えることは、何か大きなプロジェクトや壁に遭遇したとき、それを乗り越える方法(How to)を、研究を通して身につけた学生はどこの世界でも活躍しています。
卒業生が世の中に出てまだ3年なのですが、最近のうれしい報告として企業のパンフレットに載っていたり、ある化合物の合成プロセスを任されたりするなど、着実に即戦力として活躍しているようです。

Q:学生を指導していくうえで、とくに心掛けていることはありますか?

A:できるだけ実験室へ顔をだし、ゼミでは指導できない実験上のきめ細かな指導を、ノートやスペクトルを見ながらとことん議論して、一緒に考える機会を多く持っています。場合によっては実験を見せて理解させることもあります。ただ、学生さんから自分の研究結果をアピールしてくる機会がよくあり、頭の中の整理に翻弄させられる日々が続いています。良い研究をするには努力は必須ですね。

Q:研究室でこれだけは身につけてほしいと思われることをお願いします。

A:有機化学は、まさしく「Central Science」であり、様々な科学技術ときわめて関わりの深い分野です。また、芸術性に富み、冒険心を喚起する学問です。これまで人工的に作られていない生体関連分子を合成したり、作った化合物が新しい機能を有していたりと、既成概念を取り払った未知のことをやるからです。ここで得られた創造性や勇気は皆さんが大学を出て、社会で解決しなければならない問題に対処するときに必ず役に立ちます。間瀬研究室を卒業した学生は、自信を持って問題に取り組んでほしいです。

Q:これから研究室に入ってくる学生にこれだけは勉強しておいてほしいことをあげてください。

A:マクマリーをもう一度読み返して、基礎をしっかり身に付けておいて欲しいです。問題を解くことによって実力がつきますので、マクマリーに載っている問題を解いてくれたら最高です。また、時間に余裕があれば、スペクトル(NMR、IR、MS、UV)の読み方などを勉強してほしいです。それから、研究や大学院について、みなさんは分からないことばかりでしょうから化学同人から出版されている「大学院研究マニュアル」を読むことをおすすめします。講義では習わない大事なことがこの本には書いてあります。とにかく、書物を読み、忘れていたこと気づかなかったことを再認識してほしいです。

Q:コアタイムはありますか?

A:時間割表にあるように1コマ目から5コマ目(8:40~17:35)までが卒業研究の時間です。これは大学と学生さんの間での契約に等しいので、おろそかにすることは教員としてまずいと考えています。この時間は研究に専念してもらっています。それ以外の時間の使い方は個人に任せています。もちろん、1-5コマ目の間も個人の事情に対応しています。基本的に1-5コマ目の時間を活用して、研究室でしかできない実験を進めてもらっています。安全のため、その時間内に反応実験を終えるように指導しています。所属した学生さんが卒業するためにもこの体制を敷いています。ただし、学生さんが高度に自立している場合、すべての時間が自由です。本心としては、すべての時間を自由にすることを目指していますが、まだ道のりは遠いようです・・・。

Q:研究テーマの決め方は?

A:配属後1ヶ月間ぐらい、学生さんの得手・不得手を確認しています。その後、学生さんと相談しながら、原則的に教員からテーマを提案します。また、修士は原則的に2つのテーマを進めてもらっています。なお、ゼミで紹介しましたように、研究アイデア提案を行っております。そこでGOサインが出た場合、学生さんのアイデアで研究してもらっています。
なお、学内外、企業との共同研究も積極的です。共同研究先の先生や企業の方と、学生さんが直接やり取りをしています。学生さんには大変かもしれませんが、企業での研究を体感するためにも取り組んでもらっております。

Q:休みはどのようになっていますか?また、休日に資料検索・作成は可能ですか?

A:土日は休みです。反応実験は原則的に禁止しています。資料検索や作成は可能です。週休二日ですが、「一日休養、一日教養」を念頭に行動しなければ、卒業時・就職活動時に差が明確になります。これに関して、学生さんを鼓舞することはできますが、本人が自覚する以外、本質的に対処法はないので「待つこと」が私の仕事になります。

Q:アルバイトは可能ですか?就職活動は可能ですか?

A:1-5コマ目以外の時間の使い方は個人の裁量に任されています。アルバイトをしている人もいますし、研究に打ち込むため辞める人もいます。個人の見識ですので、個人に任せています。また、当然のことながら、就職活動は自由にできます。ただし、大学の正規の時間を使って就職活動をすることになるため、簡単な報告書を提出してもらっています。その報告書はまとめられ、後輩の就職活動に大変役立っています。
ただ、最近気になることは「良い人財」になることではなく、「良い会社」に入ることを目的にしている学生さんが多くなっていることです。「良い会社」は「良い人財」がたくさんいるから「良い会社」でいられるわけですので、当然「良い会社」は「良い人財」を採用します。今後も「良い人財を輩出する」、「卒業生が自分に合った社会で活躍する」ことを目標にしたいと思っています。

Q:白衣ではなく、作業着で実験しているのはなぜですか?

A:学生さんを事故から守るためです。ポリエステル製の白衣は、燃えたときに甚大なやけどをする可能性があります。ですので、難燃性素材でできている作業着で研究を行っています。安全意識を高めているため、これまでのところ大きな事故はありません。なお、難燃性素材の白衣(通称、ラボコート)を次年度から導入したいなと考えております。

Q:研究室で学生に求められることは?

A:まず、研究はグループで行っていることを忘れないでほしいです。そして、城北の中で戦っているのではなく、世界で戦っていることを忘れないでほしいです。学生さんが将来的に「どこでも、だれからも必要とされる人財」になることを願っていますし、着実にそのような学生さんが育っていることを実感しています。学生さんにホント感謝・感謝です。
研究室選びで悩んでいる皆さんの中には「求められることが高い」、「大変・厳しい」と、漠然にそのように思っている人がいるかもしれませんが、「将来的にどこでも、だれからも必要とされる人財」、そして「世界と戦っている」以上、私も本気で学生さんと接しなければならないと感じています。たまに熱くなりすぎる私を、真剣に相手してくれている学生さんに感謝です。でも、たまに私をからかいながらテキトーに相手してくるんだよね…。

Q:好きな言葉やモットーは?

A:特に好きというのはないのですが、最近気になる言葉は荀子(中国の戦国時代末の思想家・儒学者、性悪説・現実主義)の言葉です。

不聞不若聞之,聞之不若見之,見之不若知之,知之不若行之。學至於行之而止矣。行之,明也;

聞かないよりは聞いたほうがいい,聞く以上に見たほうがいい,見る以上に知るが大事,知ることよりもさらに行うことが大事。学ぶということは実践して初めて完成といえる。行動実現して初めて明らかになったといえる。

行動することの大切さを教えてくれています。