ブログリレー(竹内浩昭)

ブログリレー

生物科学科 竹内浩昭

2回目の投稿20/06/12から約1ヶ月経ち、新型コロナ対応がレベル2になりましたが、静岡大学関係者の皆さんはどうお過ごしでしょうか?

今回は、20/05/12掲載のブログ「7月になるとセミの幼虫が這い出して、羽化したセミの成虫(ニイニイゼミ,クマゼミ,アブラゼミ,ミンミンゼミ,ツクツクホウシ,ヒグラシなど)が8月末まで鳴き続けます。」に関わる「未来の科学者養成スクール(FSS)」受講生の研究を紹介します。

研究は、静岡大学を含む静岡市内3箇所(図1:都市型公園の森下公園;森林型公園の清水山公園;静岡大学)で2010年から2019年までセミ(表1)を継続調査したというものです(竹内希海2019)。採集できたセミは、クマゼミ,アブラゼミ,ツクツクボウシ,ニイニイゼミ,ミンミンゼミ,ヒグラシの6種で、その数はクマゼミとアブラゼミが圧倒的に多いことがわかります(表1,図2)。セミの幼虫は、木に産み付けられた卵から孵化すると地中に潜り、そこで数年間すごした後、日没前後の時間帯に地上へ出てきて、草や木に登って羽化します。



クマゼミとアブラゼミの幼虫について雌雄の出現時期を調べたところ、クマゼミ幼虫♂→クマゼミ幼虫♀→アブラゼミ幼虫♂→アブラゼミ幼虫♀の順に出現することがわかりました(図3)。また、都市型公園ではクマゼミが多くて森林型公園ではアブラゼミが多いこと、その両方の環境を含む静岡大学では両種が出現時期をややずらして共存していることがわかりました(図4)。なお、調査期間中に大規模改修工事が行われた都市型公園でクマゼミの比率が増えたことから、人為的な環境変化がセミの出現比率を変化させうると考えられます。


静岡市内では多くの場所で8月初旬までセミの羽化(動画1:ツクツクボウシの羽化;https://youtu.be/B29eaYr0H6o)を見ることができます。環境の変化に対応しながら生きる小さなセミのダイナミックな羽化を夕方の散歩がてら観察してみませんか。