空気コンデンサで結晶変形を超精密に測定
圧電体は、胎児・心臓病等のエコ検査、建物等の内部劣化の調査、超音波洗浄、漁群探知、原子位置の操作できる超精密位置制御、カメラ―の手振れ補正などに広く利用されている。圧電体に電圧を印加すると、結晶変形が生じる。例えば、時計・共振器などに利用されている水晶のX軸に1Vを印加すると、一番小さいLiイオン半径(59pm)より一桁以上小さい変形(2.4pm)が発生する。圧電材料の電場による変形を解明することは、材料特性の解明・材料開発のみならず、圧電素子の応用においても極めて重要である。これまで圧電体の変位が一般的に高価なレーザー干渉計などで評価される。それらの方法はpmオーダーの変位を測定できる一方、ミクロオーダーまでの広範囲な変位を測定するには難しい。今回、我々は安価な空気容量変位センサーでレーザー干渉計の分解能を凌駕する分解能をもち、かつ、pmオーダーからμmオーダーまで広い範囲の変位とその温度変化を容易に測定できるシステムの開発に成功した。研究成果は高く評価され、研究に示されている測定方法も圧電定数の測定基準(査読のコメント:“This method can potentially be a measuring standard for the piezoelectric constant via converse piezoelectric effect”)として期待されている。本研究成果は、米国物理学協会AIPのJ. Appl. Phys.129号に4月14日付でオンライ掲載された。( Desheng Fu and Eiki Kakihara,“A capacitive displacement system for studying the piezoelectric strain and its temperature variation”, J. Appl. Phys. 129,144101(2021). )