誕生して世界中に拡散するときに、初期現生人類(我々と同じホモ・サピエンス)はどのような能力を持っていたのか? どのように各地の自然環境に適応し、自然環境をどの程度改変していたのか?
我々の直接の先祖である初期現生人類は30万年前のアフリカで誕生し、その後、アフリカ内で行動能力を向上させて、5~4万年前までにユーラシア大陸の広い部分やオーストラリア大陸まで拡散しました。その時代の現生人類が、自然環境にどのように適応していたのか世界中で研究が進められています。さらに近年では、その時代の初期現生人類が、自然環境を改変していたという証拠も得られはじめており、新たな研究課題となりつつあります。私はそうした研究を日本列島や東南アジアを対象にして展開しています。
現在、自然と人間との関係を見直しながら、持続可能な社会のあり方が模索されています。その中で、考古学の分野では、過去の人間と自然環境との関係がどのように変化してきたのかについて調べられています。人間(ホモ・サピエンス)の本性や、誕生の時点での自然環境との関わりについての知見は、これからの自然と人間との関係を考えていく上で知っておくべき知識になると考えて研究に取り組んでいます。
教育面では、考古学の研究方法や理論、旧石器時代や縄文時代の研究成果などについて学部生や大学院生に教えています。また、社会の中で考古学の研究成果をどのように活かすことができるのかについても、授業の中で取り上げるようにしています。
【主な研究業績】
Yamaoka, T. et al. 2023 New Perspectives on the Behavioral Patterns of Early Modern Humans from the Japanese Islands. MITTEILUNGEN DERGESELLSCHAFT FÜR URGESCHTE (MGfU) 31 pp.41-70.
山岡拓也2012『後期旧石器時代前半期石器群の研究―南関東武蔵野台地からの展望―』六一書房
【一般向けの文章】
山岡拓也・池谷信之2018『ふじのくにのホモ・サピエンス~3万5千年前の遺跡から現代人的行動を探る~』静岡大学公開講座ブックレット10 静岡大学地域創造教育センター
山岡拓也2024「講座4 愛鷹山麓の遺跡の考古学研究で明らかにされている初期現生人類の技術と行動」『静岡の自然と社会~県東部にスポットをあてて考える~』静岡大学公開講座ブックレット14 静岡大学地域創造教育センター pp.63-89.
※これらのブックレットは以下のURLのページからダウンロードしていただけます。