2024年9月に行者穴遺跡の発掘調査を実施しました。

静岡大学人文社会科学部考古学研究室では浜松市とともに、浜松市北区滝沢町に所在する滝沢鍾乳洞遺跡と行者穴遺跡の発掘調査を2020年度から継続的に実施しています。滝沢鍾乳洞遺跡と行者穴遺跡はお互いに近接する洞窟遺跡です。行者穴遺跡では1998年度に浜松市博物館による発掘調査が実施され、縄文時代草創期に遡るとみられる資料が出土していました。2022年度にその調査区を再発掘したところ、後期旧石器時代後半期の初頭(およそ28,000~27,000年前)に遡る炉跡とみられる遺構や石器や動物遺体などの遺物が残されていることがわかりました。2023年度には、調査区を拡張して発掘したところ、後期旧石器時代後半期後葉(およそ20,000年前)の石器や動物遺体などの遺物が残されていることもわかりました。2024年度は9月12日から27日の16日間で行者穴遺跡の発掘調査を実施し、2023年度調査で拡張した調査区のうち、後期旧石器時代の地層まで到達していなかった区画を掘り下げました。そうしたところ、後期旧石器時代後半期後葉(およそ20,000年前)とみられる地層から石器や動物遺体などの遺物が新たに出土しました。今後、発掘調査をさらに進めるとともに、出土した資料の分析を進めて、後期旧石器時代後半期の2つの次期の文化層の内容を明らかにする予定です。なお、今年度の発掘調査は科研費基盤研究B「更新世末から完新世初頭における先史狩猟採集民の生態資源利用をめぐる研究 」(2023年4月~2028年3月 代表:山岡)の調査研究として実施されました。