植物の成長に関する応用研究

私たちは,実験室から圃場レベルでの栽培試験を通して,植物成長効果のある肥料や物質の効果を検証し,実用レベルまで応用することで,実農業への貢献を目指しています.

① 「溶融スラグ」の農業利用 (新日鉄住金エンジニアリングとの共同研究)
環境への負荷を低減する資源循環型社会の構築を目指し,廃棄物の再生利用の推進に取り組んでいます.清掃工場において,ごみ処理過程のシャフト炉式ガス化溶炉から産出される「溶融スラグ」には,可溶性石灰,可溶性ケイ酸が含まれています.そこで,ケイ酸肥料を好むイネ科作物 (イネ,サトウキビ,マコモ) を対象に,「溶融スラグ」の肥料効果試験を行い,応用性を検証しています.

② フェアリー化合物の農業利用
(静岡大学農学部 生化学研究室 河岸洋和 教授,崔宰熏 助教との共同研究)
公園,ゴルフ場,住宅街などで,芝が輪状に周囲より色濃く繁茂し,時には成長が抑制されたり枯れたりして,後にキノコが発生する現象は「フェアリーリング (fairy ring, 妖精の輪)」と呼ばれている.河岸らの研究グループは,フェアリーリングを形成するコムラサキシメジが産生する化合物 (フェアリー化合物) の正体を突き止めました.これらのフェアリー化合物は,試験したあらゆる植物に成長活性を示すことから,現在,農業利用を目指した圃場レベルでの応用研究を行っています.