第11回ChemBioハイブリッドレクチャー

2018年10月13日に東京大学本郷キャンパス・小柴ホールにて、最近の研究成果を発表する機会をいただきました(少し前の話ですが…)。

当日は、村上裕先生(名古屋大学)、前田理先生(北海道大学)、石塚匠先生(宮崎大学)、味岡逸樹先生(東京医科歯科大学)と一緒に東京大学化学生命工学専攻ChemBioハイブリッドレクチャーで発表させていただきました。

講演タイトル「ペプチド結合の等価置換を基軸とするアミロイドーシスの生物有機化学」

(少し緊張?)

Organic Chemistry Seminar in Penn Chemistry

8月23日から25日まで筆者の留学先・ペンシルバニア大学化学科(Penn Chemistry)に行ってきました(ACS meeting in Bostonからの流れです)。

5月に招聘した共同研究者・E. James Petersson先生にご厚意で、Penn ChemistryのLynch hallで講演する機会をいただきました。Bode研に留学していた時は聴衆として座っていた自分が、今回は講演者としてLynch hallで講演するのはとても光栄なことでした(もちろんJWBはいません)。

当日は「Penn Chemistryに行って、1時間研究について話す」だけのつもりでした

…が、Petersson先生のご厚意で朝8時半からみっちりスケジュールを組んでいただき、Penn ChemistyやMedical Schoolの先生方と30分〜1時間程度みっちりディスカッションの日程が組まれていました(これってJob Interviewか?と疑うレベルでした)。

Elizabeth Rhoades先生にはじまり、Zahra Fakhraai先生、Amos Smith先生、Robert Mach先生、David Chenoweth先生、Sergei Vinogradov先生、Jeffery Saven先生、Feng Gai先生など、濃い、濃い、濃すぎる。。。帰国して10年が経過し、英語力が著しく低下しているものの、これはもうやるしかないと強制的にスイッチオンです(何事も最後は気持ちです)。

なかでもDavid Chenoweth先生はアザグリシンをはじめとするペプチドミメティックやケージド化合物を使うケミカルバイオロジー研究もされており、筆者と共通する研究内容も多いため、もっとディスカッションする時間が欲しかったと今さらながらに思います。

さて、Penn Chemistryの講演は(特に有機化学分野)、正午から始まることが多く、筆者の講演も同様に正午からでしたが、Chenoweth先生とのディスカッションから5分強で会場となるLynch hallに入り、準備もそここに、「スタート!」のような慌ただしいスケジュールでした。発表自体はいつも通りでしたが、新しいデータを追加したために、時間が不安になり最後は少し駆け足での発表となりました(個人的にはかなりウケたと自負しています)。

その後昼食をとりながら、Petersson研の学生さんと佐藤浩平先生、児玉有輝くんの研究発表ののち、午後のディスカッションがスタートです。こんなにみっちり話を聞いてもらえる機会もそうはないので、自分の話を理解してもらうのも、相手の話を理解するのも必死でした。


(佐藤先生の研究発表)

ディスカッション後は、Petersson先生に連れられて、フィラデルフィアで洒落乙なレストラン・Parcにディナーに行きました。Parcは、Rittenhouse Squareの目の前でとてもいい立地条件で、(ポスドク時代はなかなか縁がなかったのですが)入ってみるととてもクラシックで落ち着いた雰囲気で、店員さんもプロフェッショナルであることが伝わってくるほどでした。

ディナーはPetersson先生、佐藤先生、児玉くん、筆者に加えて、Saven先生も参加してくれて、とても美味しくステーキをいただきました(アメリカで食べたステーキの中で一番美味しかったかもしれません)。

(Parcでの夕食:左から筆者、Saven先生、Petersson先生、佐藤先生、児玉君)

また、今回のディスカッションを通じて特に嬉しかったのは、AB Smith先生やF Gai先生など留学時代の先生が自分のことを覚えていてくれて、とても気さくに研究やその当時のことについて話をしてくれたことです。2008年当時Penn Chemistryに在籍していたBode先生のところに留学したのはわずか10ヶ月ですが、人との繋がりがとても大事であることを改めて実感しました。

またこのような出会いに巡り合えるように毎日楽しく研究します!

E. James Petersson先生を招聘しました。

5月13日日曜日から5月19日までE. James Petersson先生(University of Pennsylvania)をお呼びして、講演会を開催しました。
Petersson先生とは、留学先のPenn Chemistryで、研究室を立ち上げの時期に廊下で軽く挨拶して(確か2008年?)、その後細々?と連絡を取り合っていました。昨年カナダの山奥のWhistlerで開催されたAPS2017でのディスカッションを通じて(ちなみにこれも廊下)、共同研究を進めることになり、今回の招聘*1に至りました。

静岡大学浜松キャンパスでは、第2回有用物資合成研究会*2 *3として、「生体分子を制御・可視化するケミカルバイオロジー」を題目に、Petersson先生に加え、家田直弥先生(名古屋市立大学)、田中智博先生(野口研究所)、岩田太(静岡大学)、重永章先生(徳島大学)、大石俊輔先生(名古屋大学)、大吉崇文先生(静岡大学)にご講演いただきました。主催者の主観ですが、ご講演いただいた先生の顔ぶれは濃く、研究内容はかなりアツいものだったと感じました。

本研究会に参加し、さらに積極的にディスカッションに参加してくれた皆様に感謝申し上げます!

また、懇親会では、Penn Chemistryの第二代CJP (Crazy Japanese Postdoc)の田中先生や本学間瀬先生のご尽力のおかげでとても楽しい時間を過ごすことができました。

最後になりましたが、今回の招聘では、静岡大学浜松キャンパスでの研究会に加え、東京大学先端研、名古屋大学ITbM、京都大学大学院薬学研究科でご講演いただき、関係の先生にご協力のおかげで、どうにか招聘を無事に終えることができました。この場を借りて御礼申し上げます。

*1 今回の招聘は本学工学部の国際共同研究プロジェクト助成「アミロイド線維形成機構の解明を目指したケミカルバイオロジー研究」によって実施いたしました。

*2 第2回有用物資合成研究会は、本学超領域研究推進本部に共催いただきました。

*3 有用物資合成研究会(別名:鳴海を慰める会):
【活動目的】医薬品、農薬、機能性材料等の様々な有用物質に関する科学技術の基礎的研究かつその実践的応用の進歩、学術文化の発展ならびにそれらを担う人材の育成を図り、持続可能な社会の発展に寄与することを目的とする。
【活動内容】本会は、医薬品、農薬、機能性材料等をはじめとする有用物質に関連する科学と技術およびこれらに関連する諸分野の情報を交換・吸収する、研究講演会やミニシンポジウムを提供する。構成員はこれらの場を通じ、学術的向上や研究の新展開に加え、研究者相互の人間的な触れ合いや国際的な交流を深めることが可能である。

 

Methodology: Chloroalkene’s Powerful Potentials

Improvement of chemical stability of conjugated dienes by chlorine substitution

T. Narumi*, T. Nishizawa, T. Imai, R. Kyan, H. Taniguchi, K. Sato, N. Mase

Tetrahedron, 2018, 74 (45) 6527-6533.

Conjugated systems have versatile utilities in various fields including organic synthesis, pharmaceutical development, and material science. Such systems take advantage of their properties, which include their unique reactivity, relatively rigid structures, and low HOMO-LUMO gap energies. Their utility and the handling of conjugated systems however are both limited by excessively high photosensitivity and reactivity. We now report a novel molecular approach to the improvement of the chemical stability of the acyclic conjugated system against the photolysis and oxidation reactions simply by the introduction of a chlorine atom into the conjugated system. Systematic studies of substrates with various substituents reveal that the improved chemical stability is based on the additive effects of the steric and electronic properties of the chlorine atom substituent.

256th ACS National Meeting & Expositionに参加して

期間:2018年8月19日〜23日
場所:Boston (America)
発表者:M2 児玉有輝 (ポスター)


8月の後半に海を越え, アメリカで開催された
256th ACS National Meeting & Expositionに参加してきました.

指導教員の鳴海先生と同グループの佐藤先生, 所属の違う先生方3人と学生1人という合計6人体制で臨みました.

そうそう気軽に参加出来ない学会ということもあり, 感じたことを全てお伝えしたいのですが, 文面のみでは難しいのでできる範囲でお伝えします.

学会の規模はいうまでもなく世界最大級,  論文上でしか見たことのない先生方が, 気づくと隣でコーヒーブレイクしている世界です.

私は主に反応開発やアミノ酸ペプチド分野の発表を聴講しました.
アメリカの学会だからといって内容が大きく違うわけではありませんが, 最近研究が盛んに進められている内容やスライドの構成など大変参考になりました. また, 異分野の発表を聴講した際には先生方に解説していただきながらだったので勉強になりました.

ポスター発表では日本では見かけないビールを飲みながらの発表というスタイルで, それぞれがフランクな会話を交えながらディスカッションしていました. 私自身, 英語でのポスター発表は何度か経験していましたが現地で行うのは初めての経験だったのでとても刺激的でした.

短い期間でしたが, 実際に海を渡ることで世界を相手に研究している感覚を肌で感じ, 研究を通じて会話を交えることで打ち解ける感覚が新鮮でした. 次に参加する機会をいただければ、口頭発表に挑戦したいと思います.

谷口敦彦先生 講演会を開催しました。

7月17日火曜日に谷口敦彦先生(東京薬科大学薬品化学教室(林良雄研究室) )をお呼びして、講演会を開催しました。
谷口先生は京都薬科大学の木曽研究室出身のため、学生時代から仲良くさせていただいています。

谷口先生(同グループ佐藤浩平先生のデスクにて)

今回は大学院講義の一環として、「ペプチドの化学構造に着目したアミロイドペプチド・タンパク質の機能制御」についてご講演いただきました。我々も最近神経化学の分野に少しずつ手を広げており、とても興味深く拝聴させていただきました。アミロイド線維やはり奥が深い!(集合写真撮り忘れました、谷口先生、ごめんなさい)

本講演会にご参加いただき、積極的なディスカッションありがとうございました! 谷口先生の今後のさらなるご活躍に期待しています!