「微細な泡」が化学合成を変える:冷やさない、還元剤を使わない次世代オゾン分解

本稿は、掲載論文に基づき生成AIを用いて要約・表現を作成しています。内容の正確性には配慮していますが、解釈や表現の過程で不正確な記載が含まれる可能性があります。特に構造式については不正確です。正式な情報は原論文をご確認ください。

 “Fine bubble organic chemistry: mass-transfer-intensified reductant-free stoichiometric ozonolysis at room temperature”
Sakurai, H.; Sato, K.; Narumi, T.; Mase, N.
Reaction Chemistry & Engineering
2026, in press.
https://doi.org/10.1039/d6re00165c

Received: 07 May 2026
Accepted: 13 July 2026
First published: 14 July 2026

有機合成化学の世界において、オゾン分解(Ozonolysis)は炭素ー炭素二重結合を切断し、カルボニル化合物を得るための極めて強力かつ標準的な手法です。しかし、その利便性の裏には常に「扱いにくさ」という大きな壁が立ちはだかってきました。

オゾンそのものの毒性(許容濃度 0.1 ppm)に加え、反応過程で生成される過酸化物中間体はエネルギー量が高く、爆発の危険性を孕んでいます。そのため、不安定な中間体の蓄積を防ぐべくマイナス78度といった極低温での厳密な管理が求められ、さらに反応後には危険な中間体を潰すための還元剤(Reductant)による後処理が不可欠だったのです。

もし、こうした数々の制約を、わずか「ナノサイズの泡(ファインバブル)」を用いるだけで解決できるとしたら? 静岡大学の研究チームが発表した新しい手法は、物理化学的なアプローチによって化学合成の常識を塗り替えようとしています。

驚きのポイント1:ナノサイズの泡が、過剰な試薬を不要にする

今回の革新の核となるのは、加圧・減圧方式(pressurization-depressurization-based)によって生成される「ファインバブル(FB)」技術です。

通常、気液反応では大きな気泡はすぐに液面へ浮上してしまいます。しかし、本研究で用いられたシステムは、3.0 MPaという高圧下でガスを溶解させ、その後の減圧によって平均直径わずか53.1 nm(ナノメートル)という超微細な泡を、1ミリリットルあたり1億個以上の高濃度で発生させます。

この微細化により気液界面の表面積が劇的に増加し、物質移動(mass transfer)が飛躍的に強化されました。データによれば、FB法は反応開始5分以内で急激に基質を消費する非常に速い初期反応速度を示します。その結果、理論値に極めて近い「1.0〜1.1当量」という最小限のオゾン量だけで、95%という高い変換率を達成しました。従来のバブリング法(70%)やスラグ流(80%)と比較しても、その効率性の差は歴然です。

驚きのポイント2:マイナス78度はもういらない?室温・還元剤フリーの衝撃

従来のオゾン分解では、オゾニドの蓄積を避けるために極低温操作が常識でした。しかし、本手法は「25度の室温」で安全に進行します。

その鍵は、水を用いた中間体の制御にあります。溶媒に「5% 水ーアセトン混合溶媒」を用いることで、反応過程で生じる不安定な中間体(カルボニルオキシド)を、水が即座にトラップして比較的安全な「α-ヒドロキシヒドロペルオキシド(αHHP)」へと変換します。

さらに、この技術は柔軟性にも優れています。例えばα-メチルスチレンのような、水が加わりにくい(立体障害のある)基質の場合でも、水の含有量を25%まで引き上げることで副反応を抑制し、高い選択性を維持できることが証明されています。

この成果について、研究チームは論文の中で次のように述べています。

空間的に分離されつつも連続的なファインバブル・オゾン分解システムは、穏和な条件下でカルボニル化合物を提供し、ファインバブル有機化学が気液有機合成の有望なプラットフォームであることを示している。

驚きのポイント3:「その場で分解」という安全思想:Al₂O₃/MnO₂の段階的連携

安全性への配慮は、反応の出口設計にまで徹底されています。本システムでは、生成された中間体αHHPをシステム内に溜め込まず、インラインで安全に分解する「積層ベッド(packed beds)」が直結されています。

ここでは、酸性アルミナ(Al₂O₃)と二酸化マンガン(MnO₂)による巧妙な二段階の作業仮説に基づいた連携プレーが行われています。

  1. まず、**酸性アルミナ(Al₂O₃)**が中間体αHHPを目的のカルボニル化合物と過酸化水素(H₂O₂)へと変換します。
  2. 次に、**二酸化マンガン(MnO₂)**が、副生した過酸化水素を即座に水と酸素へと分解します。

「危険な中間体を作ったら、その場で安全な物質へ変えていく」というこの設計思想により、還元剤を外部から添加することなく、安全かつ連続的な合成が可能になったのです。

驚きのポイント4:研究室から実用へ―天然物合成での実力証明

この技術の実用性は、実際の天然物合成においても証明されています。研究チームは、クミンやコリアンダーに含まれる天然成分「(−)-β-ピネン」を原料に、医薬品や香料の中間体として重要な「(+)-ノピノン」の合成に挑戦しました。

結果、2.0グラムスケールにおいて、74%という良好な収率で目的物を合成することに成功しました。これは、単なる基礎研究の枠を超え、産業利用や廃棄物を最小限に抑える「グリーンケミストリー」への多大な貢献を期待させる結果です。

結び:未来へ向けた問いかけ

今回の研究は、これまで「扱いにくい」とされてきた強力な化学反応を、ファインバブルという物理的な工夫によって「安全で持続可能なプロセス」へと変貌させました。化学量論量(1.0〜1.1当量)に近い試薬で反応を完結させ、余分な廃棄物を出さないこの手法は、まさに次世代の合成技術と言えるでしょう。

私たちは、反応を制御するためにはより強力な試薬や過酷な条件が必要だと考えがちです。しかし、実はその答えは「泡のサイズをナノスケールに制御する」といった、洗練された物理的アプローチの中に隠されていました。

あなたの業界が抱える「解決困難な課題」を打破するヒントも、案外このような「小さな泡」の中に隠れているのではないでしょうか?

間瀬研での考え方 ― よい研究は、よい考え方から生まれる ―

間瀬研での考え方
― よい研究は、よい考え方から生まれる ―

間瀬研では、研究成果だけでなく、その土台となる「考え方」を大切にしています。

稲盛和夫氏は、人生や仕事の結果を「考え方×熱意×能力」で表す考え方を示しました。能力や熱意は重要ですが、それらをどの方向に生かすかを決めるのは「考え方」です。稲盛氏は、「考え方」は生きる姿勢であり、人生や仕事の結果を大きく左右するものだと説明しています。

補足:能力と熱意は0〜100点、考え方はマイナス100〜プラス100点で、考え方がマイナスだと結果全体も悪い方向に振れる

研究室は、一人だけで成果を出す場所ではありません。学生、教員、共同研究者、技術職員、事務職員など、多くの人との信頼関係の上に成り立っています。そのため、間瀬研では「何ができるか」だけでなく、「どのような姿勢で研究に向き合うか」を重視します。

私たちが大切にしたいのは、誠実に取り組むこと、約束を守ること、人の時間を大切にすること、感謝と謝罪をきちんと伝えること、困ったときには早めに相談すること、そして自分の成果だけでなく研究室全体の成長を考えることです。

研究は、うまくいかないことの連続です。だからこそ、失敗を責めるのではなく、そこから学び、次の一歩につなげる姿勢を大切にします。大事なのは、最初から完璧であることではありません。自分の弱さや未熟さを認め、学び続け、周囲と協力しながら成長していくことです。

間瀬研の基本姿勢は、「一所懸命」と「仁義礼智信」です。目の前の研究、学び、人との関係に一所懸命に向き合うこと。そして、仁・義・礼・智・信を大切にし、研究者である前に、信頼される一人の人間であることを目指します。

よい研究室文化は、偶然には生まれません。一人ひとりの考え方と日々の行動によって育っていきます。間瀬研は、互いを尊重し、誠実に学び合い、安心して挑戦できる研究室でありたいと考えています。

私たちは、能力や成果だけで人を評価する研究室ではありません。よい考え方を持ち、熱意をもって努力し、仲間とともに成長しようとする人を歓迎します。

引用・参考資料

  1. 稲盛和夫オフィシャルサイト
    「人生・仕事の結果=考え方×熱意×能力」
    https://www.kyocera.co.jp/inamori/about/thinker/philosophy/words43.html
    参照日:2026年7月9日
  2. 稲盛和夫オフィシャルサイト
    「プロフィール」
    https://www.kyocera.co.jp/inamori/about/profile.html
    参照日:2026年7月9日
  3. 稲盛和夫オフィシャルサイト
    「思想」
    https://www.kyocera.co.jp/inamori/about/thinker/philosophy/
    参照日:2026年7月9日

フラスコ内の化学反応の成果を生産現場へつなぐグリーンモノづくりに挑む

お恥ずかしながら、なんか、ブイブイ言っています(笑)。ご笑覧ください。
医薬品、農薬、機能性材料――私たちの暮らしを支える化学品の多くは、「何を作るか」と同じくらい「どう作るか」が重要である。エネルギーを大量に消費する工程、廃棄物が多く出る工程、危険物を扱わなければならない工程。化学の進歩が便利さをもたらしてきた一方で、製造の現場には今なお多くの非効率が残されている。こうした課題に向き合っているのが、静岡大学工学部/グリーン科学技術研究所の間瀬暢之教授である。間瀬教授は、化学反応と装置の設計そのものを見直すことで、より安全で、生産性が高く、環境負荷の小さいプロセスの実現を目指している。言い換えれば、持続可能な社会を支える「グリーンものづくり」を、研究室の中だけでなく実際の生産現場へとつなげようとしているのだ。そのための3つの武器が、「ファインバブル」「フロー合成」「機械学習」という技術である。本記事では、間瀬教授がこれら3つの技術をどのように活用し、製造プロセスの変革と社会実装の実現を目指しているのかを伺った。

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フラスコ内の化学反応の成果を生産現場へつなぐグリーンモノづくりに挑む〜間瀬暢之・静岡大学工学部/グリーン科学技術研究所 教授