今年度後期、日本史分野の3年生は、「日本史学史料講読Ⅱ」を受講しています。これは、近世史料の輪読を行うものです。今年度は、慶長16年(1611)から同20年にかけての徳川家康の日々の動向を記録した『駿府記』(続群書類従完成会刊行)を読んでいます。
輪読にあたっては、いつ、誰が、どこで、何をした(何を言った)、といった、いわゆる5W1Hを正確に把握することを心がけています。その際、行為の主体が誰であるか明示的ではなかったり、よく読まないと読み取れない場合が多く、たとえば敬意表現や助動詞の「被(らる)」「可(べし)」に注意するなどしながら読み進める必要があります。
また、言葉の意味や人名を逐一辞書で確認することはもちろん、今回は寛政期に江戸幕府が編さんした『寛政重修諸家譜』(かんせいちょうしゅうしょかふ)から人物比定を行ってもらっています。受講生の志望する時代は近世に限られませんが、日本史学を学ぶうえで、史料の使い方も会得してもらいたいということです。

寛政重修諸家譜を真剣に調べている人。見つかるかな?
と、まあ難しいことを書いておりますが、基本的にはざっくばらんにやっており、質疑応答も積極的に行ってもらっています。この分野のいちばん面白いところは、史料を皆で読みながら、ああでもない、こうでもないと、ときに気楽に、ときに呻吟しながら議論することにあると思っており、その楽しさを体感してもらえればと考えています。
どなたも、最初はとまどうと思いますが、真面目に取り組んでいればすぐにある程度は読みこなせるようになります。日本語ですし。といいつつなかの人もはじめて読む史料のため一部苦戦しておりますが、皆さんと議論することを楽しんでやっています。

机いっぱいにひろがる史料とガチャピン…