静岡歴史教育研究会の活動の一環として実施された以下のイベントに関する記録が掲載されています。
・第3回高大連携社会科研究発表会(2024年12月)
・地歴教員養成講座(全10回)
静岡大学学術リポジトリからも内容を閲覧することができますので、ぜひご覧ください。
静岡歴史教育研究会の活動の一環として実施された以下のイベントに関する記録が掲載されています。
・第3回高大連携社会科研究発表会(2024年12月)
・地歴教員養成講座(全10回)
静岡大学学術リポジトリからも内容を閲覧することができますので、ぜひご覧ください。
静岡大学人文社会科学部考古学研究室では浜松市とともに、浜松市北区滝沢町に所在する滝沢鍾乳洞遺跡と行者穴遺跡の発掘調査を2020年度から継続的に実施しています。滝沢鍾乳洞遺跡と行者穴遺跡はお互いに近接する洞窟遺跡です。行者穴遺跡では1998年度に浜松市博物館による発掘調査が実施され、縄文時代草創期に遡るとみられる資料が出土していました。2022年度にその調査区を再発掘したところ、後期旧石器時代後半期の初頭(およそ28,000~27,000年前)に遡る炉跡とみられる遺構や石器や動物遺体などの遺物が残されていることがわかりました。2023年度には、調査区を拡張して発掘したところ、後期旧石器時代後半期後葉(およそ20,000年前)の石器や動物遺体などの遺物が残されていることもわかりました。2024年度は9月12日から27日の16日間で行者穴遺跡の発掘調査を実施し、2023年度調査で拡張した調査区のうち、後期旧石器時代の地層まで到達していなかった区画を掘り下げました。そうしたところ、後期旧石器時代後半期後葉(およそ20,000年前)とみられる地層から石器や動物遺体などの遺物が新たに出土しました。今後、発掘調査をさらに進めるとともに、出土した資料の分析を進めて、後期旧石器時代後半期の2つの次期の文化層の内容を明らかにする予定です。なお、今年度の発掘調査は科研費基盤研究B「更新世末から完新世初頭における先史狩猟採集民の生態資源利用をめぐる研究 」(2023年4月~2028年3月 代表:山岡)の調査研究として実施されました。
今年度の日本史学史料講読では、室町時代の皇族である貞成親王(1372~1456)が記した『看聞日記』を読んでいます。この日記は政治・社会・文化の諸相に関わる多くの情報を含んでいて、この時代の人々のあり方を知る上で重要な史料とされています。
宮内庁書陵部編『図書寮叢刊』看聞日記第1巻~第7巻(同所・明治書院、2002~2014)が刊行されており、こちらをもとに日本史分野のゼミでは輪読しています。今年度は応永23年(1416)の記事を読み進めていますが、父である栄仁親王の死が大きなトピックとなりました。
文献史料を対象とする歴史学では、研究したい時代の文体に慣れ、その文意を正しく捉えることが分析の重要な鍵になります。また、単に語句や人名を調べるだけでなく、虚偽・誇張や、文字として書かれなかった情報をも批判的に意識して、史料が作成された意図や歴史的な背景に深く迫ります。こうした作業を根気強くおこなうことは、事実を正しく認識できる力をつける訓練になるでしょう。
史料講読の教材である『看聞日記』
なお、この季節になると、3年生がゼミ報告の準備に取り組むだけなく、4年生も卒業論文の執筆にいよいよ追い詰められ、私たちの研究室はにぎわいを見せます。論理的な思考を導くための訓練を重ね、大学生のうちにしっかりと知的な能力を身につけることは、とても大切なことです。
学生たちの共同スペースである研究室の日常(机の上がいつも片付かないのはご容赦ください!)
世界史分野ゼミ旅行にて、静岡県伊豆の国市にある韮山(にらやま)に行ってきました。ゼミ旅行は、毎年3年生が行先・旅程を決め、行っているものです。コロナ禍だったため、ここ数年は中断されてましたが、数年ぶりに学部2~4年生と大学院生から参加者を募り、今年度は韮山反射炉と江川邸を見学しました。
なぜ、世界史のゼミで県内の史跡を訪れるのかと思うかもしれませんが、韮山反射炉も江川邸もペリー来航や蘭学の発達、ヨーロッパの工業化などの世界史で取り上げられる出来事と関係している史跡です。静岡県内の史跡と世界史との繋がりを感じてきました。
韮山反射炉では、ガイダンスセンターを見学後、ガイドさんに実際の反射炉をみながら、仕組みや歴史をご説明いただきました。
江川邸にて。「小屋組づくり」という木組みの建物の中に保存されている文書類・書画・武具などの展示品を学芸員さんの説明を伺いながら見学しました。
韮山反射炉に向かう道中にて……世界史戦隊現れる!?
(彼らは時空を行き来し、本来書かれるべき埋もれてしまった過去を救い出す)
当日はみんなで電車に乗ったり、たくさん、おしゃべりしながら歩いたりして、目的地をまわりました。
2024年第8回地歴教員養成講座を開催します。
日時:11 月9 日(土) 13:30~
場所:人文社会科学部B 棟302
内容:高校教員の公開授業
<探究活動>
・中村勝芳(浜名高校)
「生徒と行った絵本製作と様々な教育の舞台裏~地域探究、国際理解教育、防災教育を中心に~」
<日本史>
・渡邉憲人(川根高校)
「反転授業で生徒との時間を作る~日本史探究の実践報告~」
<教員採用試験対策:論述問題>
担当:松井秀明(NHK文化センター)
牧野一高(榛原高校)
水野彰紀(静岡県立中央図書館/前静岡市立高校)
*連絡*
・事前申込は不要です。ご都合にあわせてご参加ください(途中退出可)。
来たる11月2日(土)・3日(日)に静岡大学でキャンパスフェスタが開催されます。
日本史分野と考古学分野でも、それぞれの研究室で「古文書展」と「考古展」を開きます。
大学生たちによる共同研究の成果をお楽しみください。
古文書展「安倍郡周辺における地方神職の実情」
考古展「静岡・清水平野の前方後円墳~丸子沢川古墳の調査から~」
なお、大学祭・キャンパスフェスタの期間中は、一般車両による入構が制限されます。お越しの際は公共交通機関をご利用ください。
日本史学研究室と考古学研究室では、合同で卒業生のみなさんを含めて日本史・考古学読書会という会を運営しています。今年も静大祭とキャンパスフェスタにあわせて、下記のように日本史考古学読書会秋季例会を開催します。
今年度は「地域資料をめぐる研究と教育」をテーマにして行います。卒業生の厚地淳司氏、日本史学研究室貴田潔氏・若木あや氏(卒業生)・松下一樹氏(卒業生)・三宅真人氏(卒業生)、本年度情報学部に博物館学で着任された村野正景氏に発表をお願いしました。
各地で地域の資料を調査・分析し、研究や教育につなげる取り組みの実践例や課題についてご紹介いただき、「地域資料をめぐる研究と教育」に関する情報交換を行いたいと考えております。みなさまのご参加をお持ちしております。
記
日本史・考古学読書会秋季例会
11月2日(土)13:00~17:20 人文社会科学部B棟301教室
テーマ「地域資料をめぐる研究と教育」
13:00-13:10 開会あいさつ・近況報告
13:10-13:45 報告①
厚地 淳司 氏:「静岡県地域における近世史料の調査・研究をふりかえって」
13:45-14:20 報告②
貴田 潔 氏・若木(安川)あや 氏・松下 一樹 氏・三宅 真人 氏:
「遠江国原田荘調査の経過報告―地域史研究の進展に向けて―」
14:20-14:55 報告③
村野 正景 氏:「学校の文化資源の創造と経営:グローカルな研究を見据えて」
14:55-15:05 学生による古文書展・考古展の紹介
15:05-15:55 休憩、考古展・古文書展の見学
15:55-17:20 質疑応答と議論
議論のテーマ「地域資料をめぐる研究と教育」
※秋季例会終了後、懇親会を行います。
秋季例会お問い合わせ:篠原まで Eメール:shinohara.kazuhiro★shizuoka.ac.jp
懇親会お問い合わせ:貴田まで Eメール:kida.kiyoshi★shizuoka.ac.jp
(それぞれ★印はアットマークに変更ください。)
※11/2(土)・3(日)に、第52回古文書展「安倍郡大原村内野家文書の調査」、第51回考古展「静岡・清水平野の前方後円墳-丸子沢川古墳の調査から-」を開催します。例会中に内容について紹介する時間と見学する時間を設けます。
以上
世界史分野の戸部は9月下旬にロンドンにて史料調査を行いました。アジア史を担当している戸部がなぜロンドンで調査?と思うかもしれませんが、近代においてイギリスとアジアとの交流は盛んに行われていましたので、当然のことながらイギリスにも当時のアジアについて記録した史料はたくさん残存しています。
ロンドンの街並み
今回調査したのは、ロンドン市内のファリンドンという地下鉄駅から歩いて10分ほどのところにあるThe London Archives(ロンドン文書館)というところです。近代に中国や日本、台湾だけでなく英領インドやセイロン、オランダ領東インドなどで生産されたお茶を仕入れ、世界各国に輸出していたハリソンズ&クロスフィールド社、およびその関連企業の文書資料が膨大に所蔵されています。
文書館の入口
そのような史料群なので、もちろん一日では調査しきれません。今回で実に4回目の調査です。3日間しか時間が取れませんでしたが、それでもがんばって有用な史料を千ページ以上撮影することができました。日本に帰国後、それらを整理し、じっくりと読み込んでいくことになります。
休憩室でホッと一息
調査に際しては、書店で資料を購入したり、研究テーマに関わる地域を歩いてみたりすることも大事です。今回も、お茶屋さんを回ったり、20世紀末までお茶のオークションが行われていたという場所に行ったりしてみました。後者については再開発が進み、当時を想起させるようなものはほとんど見つけることができませんでしたが、テムズ河との位置関係など、現地に行かないと気付けないようなこともいろいろありました。
ロンドン大学そばの由緒ある書店
今後も調査を続けていきながら、成果を少しずつ出していきたいと思います。なお、今回の調査においては科学研究費補助金基盤研究(C)「多様性という視野から見た日本茶業・茶文化に関する分野横断的研究」(課題番号:24K15483)の補助を受けています。