2026年9月12日(土) 登呂遺跡南種子赤米栽培草取り3回目草取り

前日の雨と当日雨の予報だったにもかかわらず(集合時間を1時間繰り下げて、当日を迎えてみると幸いにも曇天で暑さも和らぎ、もしかしたら絶好の雑草抜き日和)、10人が集まりました。我らの赤米たちは、他の田圃の頭を垂れている稲穂よりも遅い成長で、丈が伸びています。背が高いので打撃も受けやすいとのことですが、今のところは大丈夫。心配しなくてはいけないのは台風の風によりなぎ倒されることだとのこと。赤米の稲穂をよく見ると、黄緑色の穂のところどころにレモンイエローの星?雪?糸くず?ほこり?のようなものがちらほらしています。花です(稲に関するすべての知識は篠原先生提供)。この日の参加者は稲の花を見ることができたラッキーな人たちです。世の中に赤米の花の色を答えることができる人は何人くらいいるだろうか・・・

南側の田圃では、対処すべき雑草(特にノビエ)について教えてもらったものの、それを見つけてひっこぬこうとしてみたり、登呂が遺跡でなかった時代には使われていなかったであろう道具を使って切り取るよりも、黄色いバッタに出会ってそれを写真におさめようと追いかける頻度の方が高いくらい雑草は稀で、それでも多くの人がターゲット雑草をやっつけて満足感を得ていましたが、闘うべき雑草を見つけられなかった悲しい人もいました(私(鈴木実佳先生)のことです)。そんな具合で今日の作業は楽勝、と思ったのはやっぱり間違いでした。竪穴住居に近い方に移動してみると、田圃の状況は全く違っていて、説明を受けずともわかるような雑草に満ちていました。無言で黙々と草かき道具(南側では何のためにあるのかわからなかった道具が俄然頼れる利器となりました)を稲と稲の間を通し、果敢に挑みましたが、あまりの雑草の多さに圧倒されました。多さに圧倒されたものと言えば、トンボです。南側のときには、シオカラトンボがやってくるのが嬉しくて目で追っていましたが、後半の田圃では作業をする私たちの上はトンボの群舞という感じで、これはただトンボがいるというのではなく、私たちの作業との因果関係を疑わずにいられませんでして。トンボは単に秋を告げに来てくれるのではなくて、人が作業のために田圃に入り稲や草が動くと虫が飛び立ち、トンボたちが獲物を得るお手伝いをすることになるのでしょう。

終わりの見えない作業に絶望しかかった頃、「あとは稲の強さに任せましょう」という篠原先生のありがたいお言葉で、東屋にてお昼ごはん。赤米お稲荷さん、赤米炊き込みご飯など、みなさんで完食してくれました。炊き込みご飯のためにしゃもじを持ってくるはずだったのですが忘れてしまい、登呂博物館にてお借りしたとっても味のある大きな木匙が、登呂遺跡田圃ランチの気分を盛り上げてくれました。

ご参加のみなさん、おつかれさまでした。

由比魚介酵母ビール(仮)プロジェクトがスタート!

環境保護を重視する企業であるPatagoniaでも活動が取り上げられた林業家の佐野文洋さんと由比港漁業協同組合が、山と海の協働で駿河湾で失われて行っている藻場の再生に取り組んでいっています。

再生が試みられている藻場ではあわびやサザエが育てられ、藻をたくさん食べて育つ貝にはよい酵母があるようです。

静大発酵研(農学部木村、理学部丑丸)ではこれらあわびやサザエの消化器官から酵母をとり、中世グルートビールを手掛けてくださったフジヤマハンターズビールさんにその酵母を使ってビールをつくって頂く新たなプロジェクトに取り組んでいます。

酵母が付着している海藻を魚、貝が食べるとして、酵母が取れそうなのは、海水温が高めの7〜9月であると思われ、現在酵母単離が開始し進められています。

【関連リンク】

 

2026年9月19日(土) 藤井真生先生 S-wave『Saturday Nature ~Shangri-La(シャングリ・ラ)~』

S-wave『Saturday Nature ~Shangri-La(シャングリ・ラ)~』では、今年度月1回、発酵研メンバーが交替で出演しています。9月19日(土)の放送では、人文社会科学部社会学科の藤井真生先生が登場します。

藤井先生は、静大発酵研創設メンバーでご専門であるチェコを研究することになったいきさつや、チェコがどんな国か、また何が有名か。そしてチェコのビールについてお話くださいます。また後期から開講される発酵研の学際科目「発酵とサステナブルな地域社会研究」についてご紹介くださいます。

ぜひお楽しみください。

  • 出演番組:S-Wave 76.9『Saturday Nature ~Shangri-La(シャングリ・ラ)~』(毎週土曜 朝8:00〜10:00)
  • 出演日時:9月19日(土) 朝8:30頃から
  • 放送はサイマルラジオで全国どこからでもお聴きいただけます。同時放送のみ、アーカイブはございません。https://www.jcbasimul.com/swave

2026年8月15日(土)掛川東病院の宮地院長 S-wave『Saturday Nature ~Shangri-La(シャングリ・ラ)~』

静岡市でもユニークな病院長として知られる掛川東病院の宮地院長が日に焼けた姿で登場されました。日焼けしたのは島根県隠岐郡海士町で、離島での医療を支える取り組みをされていたからです。人口がきわめて少ない離島は医師看護師不足の課題最先端の場所です。この課題は、しかし5年程度のうちに掛川の問題となり、さらに5年程度で首都圏の問題となっていきます。

宮地院長は高齢化の進むアジア諸国でも活動をされています。宮地院長の目からすると、国民皆保険に支えられた日本の医療は他国に比べてかなり恵まれており、しかし恵まれすぎているがゆえに、社会保障まかせになるところがある、ということです。これに対して、他のアジアの国々では状況が全く異なり、自分たちの力でなんとかしないとという意識が強い。

宮地院長と発酵研をつなぐミッションであるビールについても話がありました。アルコールを一滴でも飲むと寿命が縮むとされ、医者が「ビールを飲みましょう」とはなかなかいえません。

しかし、他方で高齢者の健康を害する大きな要因は、社会的孤立であり、つながりを保つために、ビールの効用はとても大きいことを、宮地院長は指摘しています。ここ10年、孤独な人ははやくに亡くなってしまう、人とのかかわりがないと病気になってしまうといわれており、孤独と孤立は寿命と健康に悪い影響を及ぼすとされています。

かたやビールは、人類の歴史のなかで、コミュニティと結びついた飲み物であり続けてきました。古代エジプト、メソポタミア、中世以降のパブ文化、修道院におけるアルコール醸造など、ビールはコミュニティの中で造られ、楽しまれ、消費されてきています。掛川東病院では、カケガワビールとひまわりビールのコラボをしており、ひまわりの種から配り、育て、花を使ってビールをつくる過程で、参加者のつながりを生み出す活動をしています。

この活動を始めた5年前は、なかなか意義を理解されず、向かい風ばかりだったと宮地院長はいっています。しかし、この3年で大きく流れが変わり、自分たちも何か医療に関われる、医療と関わらなくともコミュニティを自分たちで生み出せる、自分たちらしいイベントを行えるという意識が高まりました。コミュニティづくりの動きが広がり、地域の力が盛り上がってきました。

ビールとコミュニティのつながりや、ビールへの地域性、地域文化の反映を話題にするなかで、最後に宮地院長が触れたのが、「お伊勢さん」の伊勢市にある伊勢角屋麦酒と発酵研のコラボで生まれた、特別なクラフトビール、KADOLABO 038 Accidental Terroir(アクシデンタル・テロワール)です。

Accidental Terroirは、静大家康公酵母(仮)3種類を使って醸されたビールです。「Accidental」という言葉は、酵母による発酵がいまだ人間が制御しきれているわけではなく、偶然による部分があるところ、また伊勢角屋麦酒の鈴木成宗社長(兼 静岡大学人文社会科学部客員教授)と静大発酵研との偶然の出会いが生み出したクラフトビールであること、に由来しています。

「Terroir」は、ワインでもっぱら用いられてきた言葉で、畑のテロワールとしてワインと土地と結びつけるものです。これに対してAccidental Terroirがアピールしようとするのは、「酵母のテロワール」です。家康公酵母もそうであるように、天然(野生)酵母が採取した土地との結びつきが意識され、ローカルな性格をもちます。地元の酵母とそれで醸したクラフトビールが、コミュニティの一体感を生み出す。それは、高校野球で地元の代表チームを応援したくなる気持ちと重なりあっているかもしれません。

Accidental Terroirは、香味がお花畑のように華やかで、次から次に色々なフレーバーが押し寄せてきます。樽で醸造されているので、樽由来の香りもします。瓶内二次発酵が進むためでしょうか、時間が経つとともに、グレープフルーツからマンゴーそしてバナナへと香りが移り変わっていきます。今後入手する機会があれば、何本か買って楽しんでいただきたいところです。ラベルも、かわいらしい色合いで、静大のロゴも入っているので、あわせて御覧いただければありがたいです。

ただし、大変申し訳ないのですが、このビールはすでに売り切れています。今月8日、第4回ISEKADO×おかげ横丁Beer Gardenが伊勢神宮参道にあるおかげ横丁にて開催されました。そこでAccidental Terroirが提供されるという話もあったのですが、製造担当者から売り切れである旨ききました。
しかし、静岡大学で保管しているものを、来年2月20日にグランシップで開催される、日本の酒シンポジウムの試飲会にて提供する予定です。日本の酒シンポジウムは、これまで山梨大学ワイン科学研究センター、新潟大学日本酒学センター、鹿児島大学農学部附属焼酎・発酵学教育研究センターにより開催されてきましたが、第6回となる今年度は、発酵研も加わり、山梨大学ワイン科学研究センターと共催で行います。基調講演では、Accidental Terroirを手掛けた伊勢角屋麦酒の鈴木成宗社長が登壇されます。

また、近い将来もう一度Accidental Terroirをつくっていただく機会があるかもしれません。その際は、ぜひ迷わずお買い求めください。

2026年8月15日(土)掛川東病院の宮地院長 S-wave『Saturday Nature ~Shangri-La(シャングリ・ラ)~』

S-wave『Saturday Nature ~Shangri-La(シャングリ・ラ)~』では、今年度月1回、発酵研メンバーが交替で出演しています。8月15日(土)の放送では、掛川東病院長の宮地紘樹先生が登場します。

宮地先生は、ひまわりビールプロジェクトで、カケガワビールなどの協力を得ながら、患者さんやそのご家族の孤立を防ぐ、地域ぐるみの取り組みを行っています。トークの話題は、宮地先生や掛川の方々と発酵研とのつながりが、クラフトビールをきっかけにして生まれてきたいきさつ、家康公クラフトと健康との関係、また医療従事者がおらず崩壊の危険に瀕している離島の医療をどのようにして支えていくか、など、盛りだくさんです。

また、大原所長も加わったコーナーの終わりには、伊勢角屋麦酒と発酵研のコラボにより、家康公酵母3種で製造したKADOLABO 038 Accidental Terroirの話もあります。ビールがどんな味がするか、どこで飲めるかなどをお伝えします。

ぜひお楽しみください。

  • 出演番組:S-Wave 76.9『Saturday Nature ~Shangri-La(シャングリ・ラ)~』(毎週土曜 朝7:30〜9:008:00〜10:00)
  • 出演日時:8月15日(土) 朝8:30頃から
  • 放送はサイマルラジオで全国どこからでもお聴きいただけます。同時放送のみ、アーカイブはございません。https://www.jcbasimul.com/swave

2026年8月8日(土) 登呂遺跡南種子赤米栽培草取り2回目

2026年8月8日(土)に登呂遺跡にて農事歴にある草取りの2回目をしました。集中講義や帰省と重なっていたため参加者数が懸念されましたが、市民の方々や新入生さんたちや近隣の中学校、小学校から参加して頂き、猛暑のなかでしたが順調に作業を進めることができました。

水が少ないため、稲の根っこが黄色くなっていました。

稲の株元から新しい茎(側芽)が発生し、茎数を増やす分げつが進みすぎるとかえってよくないようです。そのため田んぼの水を抜いて土を乾燥させて稲の生長を調整する土用干しを行い、分げつを防いで一つ一つの稲を強くすることもあるので、乾燥も悪いことではないようです。

お昼は昨年収穫した赤米でつくったパエリアでした。古代稲作で農作業をし、その場in situで収穫物を頂くのはまさにガストロノミーツーリズムです。

デザートはイスタンブールから横濱副所長が持ち帰ったバクラヴァでした。パエリアの後に蜂蜜がたっぷりしみこんだとても甘いお菓子がとてもあいました。弥生時代と地中海の料理の融合です。

2026年6月20日(土) 篠原和大先生 S-wave『Saturday Nature ~Shangri-La(シャングリ・ラ)~』

S-wave『Saturday Nature ~Shangri-La(シャングリ・ラ)~』に2026年度は月に一回発酵研メンバーが出演することとなっています。7月18日(土)は人文社会科学部/登呂農耕文化研究所の篠原先生が登呂遺跡での「赤米」の栽培と、それを使用して地元酒蔵と連携して取り組む「酒づくり」についてお話しされました。

篠原先生は考古学がご専門で、日本で米作りが始まった弥生時代や農業の始まりについて登呂遺跡をフィールドに研究されています。中学時代から考古学が好きで、九州の古墳の一人で歩き回る子供だったそうで、40年にわたり研究をされています。

登呂遺跡は太平洋戦争中に見つかり、敗戦後の苦しい時代に研究が始められ、新聞などを通して2000年前の米作りをしていた人たちが知られるようになりました。教科書に載っていましたが、日本で色んな遺跡が見つかり総体的に知名度が下がっていました。

2000年代以降静岡市が改めて研究を始め、新たな調査による水田の跡など新たな発見により水田の規模、どのように作っていたのか、田植えをしていたのか、粗放なのか、技術がそれなりに整っていた様子など、細かいところがわかってきました。登呂は日本の米作りが始まった典型的な村だということが明らかとなっています。

現在の登呂遺跡は当時と同じように復元され、2009年に水田が再現され、ここ16,7年で道具や技術の再現も行われ、米作りをどんどん当時に近づけてきました。

今のお米とは違う。「古代米」といわれている米がどういうものかはわかっていません。籾も見つかり、炭になった米のDNAを根拠にどういう米かわかるが赤米だったかどうかわかりません。新嘗祭をずっとやっていたところに赤米や古いタイプのお米が多いようです。昔の登呂遺跡でもお米をつくり、40周年のときにお米を集めた。種子島宝満神社のお米などの栽培が始められました。

宝満は背の高いような稲穂になる米で、種子島の米は静岡の気候にもあっていてよく育ちます。この考古学研究の成果である米に目をつけたのが静大発酵研です。

登呂赤米酒完成披露会で紹介された試験醸造酒の色は、赤米の玄米の皮から出ており、通常の日本酒のように精米すると赤くなくなる。おいしいお酒をつくるためには精米しないとならず、赤米の赤い色を出すのに大村屋酒造場さんや萩錦さんは相当な苦労をされました。

宝満のみで作られたお酒はロマンチックなピンク色です。最初の年は宝満に焼津を混ぜたものでしたが、二年目からは宝満のみでつくられ、この米の赤はとてもいい色です。味は若い方や女性が好みそうなです。

古代史研究者として弥生時代のどぶろくを作っていた気はしますか?という質問について、お米は食べるために作られていたが、お酒にした可能性もある。農業には酒造りの可能性があり、赤米の玄米でお酒をつくった可能性があるのではないかとのことです。

登呂農耕文化研究所では真面目に復元研究をしていますが、お酒を造りたい発酵研の思いを汲んで、できるだけ古代の作り方を念頭においてストーリーを加えるのが役割と理解されているようです。

2026年はボランティアで代掻き、田植えと一回目の草取りが終わりました。8月8日に二回目の草取りがあります。当時も草取りはしていて鍬の一部は草取り用です。篠原先生から直接弥生時代の農耕についてお話を伺うことのできる貴重な機会ともなっています。ぜひご参加ください!

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2026年7月11日(土) 登呂遺跡南種子赤米栽培草取り

2026年7月11日(土)に登呂遺跡にて田んぼの草取りをしました。前近代の農書に記載されている中耕は、除草を意味しており、田植え以降、草取りが月に一度ほど行われていたようです。田んぼには外来種の蔦が蔓延り、稲に寄生する根深いイヌビエを抜くのに難儀しました。暑い中参加してくださった市民の皆様、理学部、人文社会科学部の学生さんたちに感謝です。危険なので夏期は午前中のみにしたいと思います。

次回8月8日(土)の草取りですが、集中講義や夏期休暇と重なっていることから参加者が大変少ない状況となっています。参加者の皆さんには古代米パエリア、イスタンブールから直接到来したバクラヴァを振舞います。奮ってご参加ください。

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2026年6月13日 KADOLABO 038 Accidental Terroir 完成報告会

発酵研は伊勢角屋麦酒との共同研究を実施しています。発酵研が採取した井川の茶壷屋敷の花酵母で伊勢角屋麦酒にビール醸造をしていただきました。今回はその完成報告を受けるため,伊勢角屋麦酒下野工場に伺いました。

静大からは伊勢角屋麦酒に6株の酵母を提供しました。伊勢角屋麦酒での官能試験で,そのうちの3株が採用され,3株を混合し培養したそうです。その培養された酵母により,オーク樽でビール醸造がなされました。スタイルは Belgian Strong Golden Ale です。口に含んだときにとても華やかなベルジャンスタイルの香りがあり,飲み込んだときの飲みごたえも感じられるビールでした。完成したビール名は「KADOLABO 038 Accidental Terroir」です。伊勢角屋麦酒直売店「麦酒蔵(びやぐら)」で購入できます。限定醸造のため,KADOLABO シリーズは「麦酒蔵(びやぐら)」のみでの販売になります。

報告会議のあと,工場の見学もさせていただきました。「KADOLABO 038 Accidental Terroir」を仕込んだオーク樽で記念撮影もさせていただきました。