2026年10月17日(土) 横濱竜也副所長 S-wave『Saturday Nature ~Shangri-La(シャングリ・ラ)~』

S-Waveで土曜朝8時半から10時まで放送しているShangri-La、毎月第3週は発酵研と発酵研がお世話になっている方々が出演して、それぞれが取り組んでいることなどをお話ししています。10月17日は、横濱副所長と大原所長が、登呂遺跡の田んぼでの赤米栽培と、収穫した赤米を使った、萩錦酒造でのお酒づくりについて話しました。
なお、11月7日(土)・8日(日)は登呂遺跡の田んぼで朝9時から、稲刈りとはざ掛けをします。ぜひ参加してください。参加申込は静大発酵研のHPの特設コーナーからお願いします。

登呂遺跡の田んぼでの赤米栽培は、このホームページでお伝えしているとおりですが、登呂遺跡での水田復元、またそこで赤米が栽培されることになった経緯に少し触れました。赤米酒のほうは、その特徴や、酒造の際の萩錦酒造での工夫や苦労が話題になりました。思えば、登呂遺跡の田んぼで赤米をつくることができているのも、萩錦酒造で赤米酒を造っていただいているのも、なまじっかなことではなくありがたいことで、人の縁(えにし)と恩があってこそです。その点でいえば、萩錦酒造の萩原さんがおっしゃっていることを借りると、登呂の赤米や赤米酒は、作っている人の顔や作っている場所の風景が見えるお米でありお酒です。

横濱副所長は、赤米と赤米酒がつくられるこういった環境を言い表すために、あえてテロワールという言葉を使ってみてはどうか、と述べて、以下のような話をしました。

テロワールは、ワインの原産地と結びついたブドウの生産やワインの製造に関わる環境、習慣、歴史、知識といったものを指す、というのが公式の定義で、ワインとその原料となるブドウが生産される畑をつつむ、気候・地形・土壌および人々の営みが生み出す特徴というふうにもいわれています。
ワインは、基本的にぶどうだけを原材料にして、果汁、赤ワインの場合は果皮と種も入りますが、これを発酵させ、樽で貯蔵し熟成させて造ります。ですから、ぶどうのもつ性質がワインの味を大きく左右します。これに対して日本酒の場合、お米の酒類や産地、製造する場所は、お酒の風味にとってワインほど決定的とはいえません。日本酒に使うお米は、地元のものもありますが、全国各地から買い集めることが多いです。麹も、麹の種菌をつくっているところは全国で5~6ヶ所しかなく、種麹の産地が地元でないというのがふつうです。水は蔵の近くのものを使うことが大半です。となると、日本酒で蔵の場所を結びついているのは、たいていは水だけということになります。ウイスキーでも、大麦も、酵母も、樽も、地元のものでないのが大多数です。
それにもかかわらず、テロワールにこだわるお酒が、ウイスキーや日本酒で増えてきています。スコットランドのアイラ島では、島の大麦やピートにこだわったウイスキーが造られていますし、静岡でもガイアフローさんは静岡産の大麦、酵母と樽と水でウイスキーを造ることをしています。日本酒でも産地の地域性へのこだわりが目立ってきていて、とくに水と酒の香味との関係については研究が進み、テロワールという言葉を使うケースが出てきています。静岡の日本酒についていえば、2023年に、お酒の地理的表示(GI)の登録が認められました。

地域らしさ、地域固有なものが売りになるというところはもちろんあるでしょう。他と差別化できることは大きいと思います。けれども、原材料の産地を地元に限ったり、製造工程を制限したりすることは、酒造りを不自由にするものでもあります。それにもかかわらず、テロワールが流行っているのはなぜなのでしょうか。
考えられるのは、物語性と愛着と信頼です。登呂の赤米酒でいえば、登呂遺跡の田んぼで、弥生時代の稲作を想い起しながら仲間でつくった赤米を、この地域と人のつながりを大事にしている酒蔵で苦労して酒にする、という土地やひとと結びついたストーリー。そのストーリーをフックにして生まれる赤米酒や登呂、静岡への愛着。おいしさ・品質への信頼ももちろんありますが、どちらかというとここでつくっているのだから、この人がつくっているのだからという信頼。こういったストーリーや愛着、信頼がお酒の品質に反映されていること。それは、地域固有の環境や習慣、歴史とあわせて、地域産品の価値を上げるし、保証しもするのではないでしょうか。

2026年10月17日(土) 横濱竜也副所長 S-wave『Saturday Nature ~Shangri-La(シャングリ・ラ)~』

登呂遺跡にある復元水田で南種子赤米の宝満を弥生時代の農具を再現したものを使いながらボランティアの方々と一緒に栽培し、収穫した赤米を西脇の萩錦酒造に日本酒にしてもらう静大発酵研のプロジェクトについてお話されます。またGIをとった静岡のお酒から酒のテロワールについても考察しています。

  • 出演番組:S-Wave 76.9『Saturday Nature ~Shangri-La(シャングリ・ラ)~』(毎週土曜 朝8:00〜10:00)
  • 出演日時:10月17日(土) 朝8:30頃から
  • 放送はサイマルラジオで全国どこからでもお聴きいただけます。同時放送のみ、アーカイブはございません。https://www.jcbasimul.com/swave

2026年9月19日(土) 藤井真生先生 S-wave『Saturday Nature ~Shangri-La(シャングリ・ラ)~』放送内容

藤井先生は西洋史がご専門で中世チェコについて研究されています。高校時代になんとなく歴史をやろうと思っているところに旧東欧が崩壊したことから多くの関連文献が出回り、チェコやハンガリーが言語も違うのにハプスブルク帝国に入って行き、民族主義の中で独立していったのかなどに関心をもたれたそうです。大学でたまたまスラブ言語を学ぶ機会があり、気づいたらチェコ語を習っていたというのがきっかけだそうです。プラハの春といっても今の学生にはピンと来なくて、教科書の中の出来事なのかもしれません。

チェコはドボルザークやカフカ、ボヘミアングラスや人形劇、おみやげのガーネットなどが日本でも知られていますが、発酵研に連なるのはビールで、チェコのビールの個人消費量は世界一です(*しかしながら藤井先生は全くお酒が飲めません)。ピルスナーはチェコ語の形容詞ピルゼンから、バドワイザーはブドバルがもととなっています。

ビールといえばドイツのイメージがありますが、ベルギー、アイルランド、ボヘミア、北ヨーロッパなどでも飲まれていますが、ワインとの関係で地域差がみられます。ウィーンではワインが好まれ、静岡大学が協定を結んでいるチェコのブルノ大学やマサリク大学があるモラヴィア地方ではワインが飲まれ、ぶどうができない北や不作の年にはビールが飲まれたようです。チェコではミュシャ(ムハ)のアールヌーヴォー的なラベルのワインがお土産物として売られています。

現在のチェコには数百というビール醸造所がありますが、中世ヨーロッパではワインがメインの重要な飲料でした。ビールは日常的な飲料で駐屯地の兵にはビールが支給されていました。ビールはエルベ川を通じてハンブルクから、また北海やバルト海で交易されました。

夏が蒸し暑い日本ではビールはのどごしが重視されますが、ヨーロッパのビールは麦の味がします。ジョッキでごくごく飲むこともありますが、ビールを頼んでカフェでちびちび飲みながら読書するようです。映画で見られるシーンには階段の何段目かに置いておいたビールが適温とあるなど、室温でも大丈夫だそうです。働き方も日本と異なり、朝が早く、10時ぐらいにビールを立ち飲みし、次の現場に行くなど仕事中の軽く一杯はタブーではないそうです。

藤井先生は一般の方にも受講して頂ける市民開放授業を運営しておられます。発酵研では学外の方に来ていただいての共同研究の発表を重ねており、それらを教育現場に還元するものです。どの学部からも受講できる学際科目で、文理融合で実務家の方たちも授業を担当されます。前期はなく、後期のみで10月から授業開始です。申し込みは静岡大学市民開放授業をご確認ください。

学際科目「発酵とサステナブルな地域社会」では、農理の先生が発酵や酵母とはなにか、人文系の先生が発酵飲料の歴史と文化、法と経済をビールとワインなどから紐解いていきます。また大村屋酒造場の杜氏の日比野さんが日本酒を、井川蒸留所の瀬戸さんがウイスキーについてて、静岡県沼津工業技術支援センターの袴田さんから発酵飲料が誕生するまでにどのような実験をしなければならないかなどを講じてくださいます。

学問、企業、酵母と歴史文化と人間の社会などを総合的に学ぶもので、農学部の学生さんたちからは自分が勉強していることが社会とどうつながっているのか、文系の学生さんたちも地域のものを使っていかに自治体に還元しているのかがみえてくるなど、楽しんで受講してくれているようです。

11 発酵とサステナブルな地域社会 授業計画
第1回(10/2):オリエンテーション (人文社会科学部 藤井真生先生)
第2回(10/9):発酵食品と酵母 (農学部 木村洋子先生) *オンデマンド
第3回(10/16):酒造り (大村屋酒造場 日比野哲杜氏)
第4回(10/23):アメリカの演劇文化と発酵 (人文社会科学部 辻佐保子先生)
第5回(11/6):Brewing and Home (人文社会科学部 鈴木実佳先生)
第6回(11/13):自然界由来微生物を活用したビールの開発 (沼津工業技術支援センター 袴田雅俊上席研究員)
第7回(11/20):都市社会におけるビール文化の歴史 (人文社会科学部 藤井真生先生)
第8回(11/27):静岡のクラフトビール (静岡新聞社 橋爪充論説委員)
第9回(12/4):花酵母の単離とその応用 (理学部 丑丸敬史先生)
第10回(12/11):日本酒のテロワール (ふじのくに地球環境史ミュージアム 佐藤洋一郎館長)
第11回(12/18):環境保全と発酵飲料 (人文社会科学部 米谷壽代先生)
第12回(1/8):南アルプスでウイスキーを作る (井川蒸留所 瀬戸泰栄所長)
第13回(1/8-15):ビール醸造と法令 (人文社会科学部 横濱竜也先生) *オンデマンド
第14回(1/15-22):発酵飲料・食品と SDGs・カーボンニュートラル (グローバル共創科学部 板倉美奈子先生) *オンデマンド
第15回(1/22):ビールを通じたサステナブルな地域社会創生の試み (人文社会科学部 大原志麻先生)

2026年9月19日(土) 藤井真生先生 S-wave『Saturday Nature ~Shangri-La(シャングリ・ラ)~』

S-wave『Saturday Nature ~Shangri-La(シャングリ・ラ)~』では、今年度月1回、発酵研メンバーが交替で出演しています。9月19日(土)の放送では、人文社会科学部社会学科の藤井真生先生が登場します。

藤井先生は、静大発酵研創設メンバーでご専門であるチェコを研究することになったいきさつや、チェコがどんな国か、また何が有名か。そしてチェコのビールについてお話くださいます。また後期から開講される発酵研の学際科目「発酵とサステナブルな地域社会研究」についてご紹介くださいます。

ぜひお楽しみください。

  • 出演番組:S-Wave 76.9『Saturday Nature ~Shangri-La(シャングリ・ラ)~』(毎週土曜 朝8:00〜10:00)
  • 出演日時:9月19日(土) 朝8:30頃から
  • 放送はサイマルラジオで全国どこからでもお聴きいただけます。同時放送のみ、アーカイブはございません。https://www.jcbasimul.com/swave

2026年8月15日(土) 掛川東病院の宮地院長 S-wave『Saturday Nature ~Shangri-La(シャングリ・ラ)~』

静岡市でもユニークな病院長として知られる掛川東病院の宮地院長が日に焼けた姿で登場されました。日焼けしたのは島根県隠岐郡海士町で、離島での医療を支える取り組みをされていたからです。人口がきわめて少ない離島は医師看護師不足の課題最先端の場所です。この課題は、しかし5年程度のうちに掛川の問題となり、さらに5年程度で首都圏の問題となっていきます。

宮地院長は高齢化の進むアジア諸国でも活動をされています。宮地院長の目からすると、国民皆保険に支えられた日本の医療は他国に比べてかなり恵まれており、しかし恵まれすぎているがゆえに、社会保障まかせになるところがある、ということです。これに対して、他のアジアの国々では状況が全く異なり、自分たちの力でなんとかしないとという意識が強い。

宮地院長と発酵研をつなぐミッションであるビールについても話がありました。アルコールを一滴でも飲むと寿命が縮むとされ、医者が「ビールを飲みましょう」とはなかなかいえません。

しかし、他方で高齢者の健康を害する大きな要因は、社会的孤立であり、つながりを保つために、ビールの効用はとても大きいことを、宮地院長は指摘しています。ここ10年、孤独な人ははやくに亡くなってしまう、人とのかかわりがないと病気になってしまうといわれており、孤独と孤立は寿命と健康に悪い影響を及ぼすとされています。

かたやビールは、人類の歴史のなかで、コミュニティと結びついた飲み物であり続けてきました。古代エジプト、メソポタミア、中世以降のパブ文化、修道院におけるアルコール醸造など、ビールはコミュニティの中で造られ、楽しまれ、消費されてきています。掛川東病院では、カケガワビールとひまわりビールのコラボをしており、ひまわりの種から配り、育て、花を使ってビールをつくる過程で、参加者のつながりを生み出す活動をしています。

この活動を始めた5年前は、なかなか意義を理解されず、向かい風ばかりだったと宮地院長はいっています。しかし、この3年で大きく流れが変わり、自分たちも何か医療に関われる、医療と関わらなくともコミュニティを自分たちで生み出せる、自分たちらしいイベントを行えるという意識が高まりました。コミュニティづくりの動きが広がり、地域の力が盛り上がってきました。

ビールとコミュニティのつながりや、ビールへの地域性、地域文化の反映を話題にするなかで、最後に宮地院長が触れたのが、「お伊勢さん」の伊勢市にある伊勢角屋麦酒と発酵研のコラボで生まれた、特別なクラフトビール、KADOLABO 038 Accidental Terroir(アクシデンタル・テロワール)です。

Accidental Terroirは、静大家康公酵母(仮)3種類を使って醸されたビールです。「Accidental」という言葉は、酵母による発酵がいまだ人間が制御しきれているわけではなく、偶然による部分があるところ、また伊勢角屋麦酒の鈴木成宗社長(兼 静岡大学人文社会科学部客員教授)と静大発酵研との偶然の出会いが生み出したクラフトビールであること、に由来しています。

「Terroir」は、ワインでもっぱら用いられてきた言葉で、畑のテロワールとしてワインと土地と結びつけるものです。これに対してAccidental Terroirがアピールしようとするのは、「酵母のテロワール」です。家康公酵母もそうであるように、天然(野生)酵母が採取した土地との結びつきが意識され、ローカルな性格をもちます。地元の酵母とそれで醸したクラフトビールが、コミュニティの一体感を生み出す。それは、高校野球で地元の代表チームを応援したくなる気持ちと重なりあっているかもしれません。

Accidental Terroirは、香味がお花畑のように華やかで、次から次に色々なフレーバーが押し寄せてきます。樽で醸造されているので、樽由来の香りもします。瓶内二次発酵が進むためでしょうか、時間が経つとともに、グレープフルーツからマンゴーそしてバナナへと香りが移り変わっていきます。今後入手する機会があれば、何本か買って楽しんでいただきたいところです。ラベルも、かわいらしい色合いで、静大のロゴも入っているので、あわせて御覧いただければありがたいです。

ただし、大変申し訳ないのですが、このビールはすでに売り切れています。今月8日、第4回ISEKADO×おかげ横丁Beer Gardenが伊勢神宮参道にあるおかげ横丁にて開催されました。そこでAccidental Terroirが提供されるという話もあったのですが、製造担当者から売り切れである旨ききました。
しかし、静岡大学で保管しているものを、来年2月20日にグランシップで開催される、日本の酒シンポジウムの試飲会にて提供する予定です。日本の酒シンポジウムは、これまで山梨大学ワイン科学研究センター、新潟大学日本酒学センター、鹿児島大学農学部附属焼酎・発酵学教育研究センターにより開催されてきましたが、第6回となる今年度は、発酵研も加わり、山梨大学ワイン科学研究センターと共催で行います。基調講演では、Accidental Terroirを手掛けた伊勢角屋麦酒の鈴木成宗社長が登壇されます。

また、近い将来もう一度Accidental Terroirをつくっていただく機会があるかもしれません。その際は、ぜひ迷わずお買い求めください。

2026年8月15日(土)掛川東病院の宮地院長 S-wave『Saturday Nature ~Shangri-La(シャングリ・ラ)~』

S-wave『Saturday Nature ~Shangri-La(シャングリ・ラ)~』では、今年度月1回、発酵研メンバーが交替で出演しています。8月15日(土)の放送では、掛川東病院長の宮地紘樹先生が登場します。

宮地先生は、ひまわりビールプロジェクトで、カケガワビールなどの協力を得ながら、患者さんやそのご家族の孤立を防ぐ、地域ぐるみの取り組みを行っています。トークの話題は、宮地先生や掛川の方々と発酵研とのつながりが、クラフトビールをきっかけにして生まれてきたいきさつ、家康公クラフトと健康との関係、また医療従事者がおらず崩壊の危険に瀕している離島の医療をどのようにして支えていくか、など、盛りだくさんです。

また、大原所長も加わったコーナーの終わりには、伊勢角屋麦酒と発酵研のコラボにより、家康公酵母3種で製造したKADOLABO 038 Accidental Terroirの話もあります。ビールがどんな味がするか、どこで飲めるかなどをお伝えします。

ぜひお楽しみください。

  • 出演番組:S-Wave 76.9『Saturday Nature ~Shangri-La(シャングリ・ラ)~』(毎週土曜 朝7:30〜9:008:00〜10:00)
  • 出演日時:8月15日(土) 朝8:30頃から
  • 放送はサイマルラジオで全国どこからでもお聴きいただけます。同時放送のみ、アーカイブはございません。https://www.jcbasimul.com/swave

2026年6月20日(土) 篠原和大先生 S-wave『Saturday Nature ~Shangri-La(シャングリ・ラ)~』

S-wave『Saturday Nature ~Shangri-La(シャングリ・ラ)~』に2026年度は月に一回発酵研メンバーが出演することとなっています。7月18日(土)は人文社会科学部/登呂農耕文化研究所の篠原先生が登呂遺跡での「赤米」の栽培と、それを使用して地元酒蔵と連携して取り組む「酒づくり」についてお話しされました。

篠原先生は考古学がご専門で、日本で米作りが始まった弥生時代や農業の始まりについて登呂遺跡をフィールドに研究されています。中学時代から考古学が好きで、九州の古墳の一人で歩き回る子供だったそうで、40年にわたり研究をされています。

登呂遺跡は太平洋戦争中に見つかり、敗戦後の苦しい時代に研究が始められ、新聞などを通して2000年前の米作りをしていた人たちが知られるようになりました。教科書に載っていましたが、日本で色んな遺跡が見つかり総体的に知名度が下がっていました。

2000年代以降静岡市が改めて研究を始め、新たな調査による水田の跡など新たな発見により水田の規模、どのように作っていたのか、田植えをしていたのか、粗放なのか、技術がそれなりに整っていた様子など、細かいところがわかってきました。登呂は日本の米作りが始まった典型的な村だということが明らかとなっています。

現在の登呂遺跡は当時と同じように復元され、2009年に水田が再現され、ここ16,7年で道具や技術の再現も行われ、米作りをどんどん当時に近づけてきました。

今のお米とは違う。「古代米」といわれている米がどういうものかはわかっていません。籾も見つかり、炭になった米のDNAを根拠にどういう米かわかるが赤米だったかどうかわかりません。新嘗祭をずっとやっていたところに赤米や古いタイプのお米が多いようです。昔の登呂遺跡でもお米をつくり、40周年のときにお米を集めた。種子島宝満神社のお米などの栽培が始められました。

宝満は背の高いような稲穂になる米で、種子島の米は静岡の気候にもあっていてよく育ちます。この考古学研究の成果である米に目をつけたのが静大発酵研です。

登呂赤米酒完成披露会で紹介された試験醸造酒の色は、赤米の玄米の皮から出ており、通常の日本酒のように精米すると赤くなくなる。おいしいお酒をつくるためには精米しないとならず、赤米の赤い色を出すのに大村屋酒造場さんや萩錦さんは相当な苦労をされました。

宝満のみで作られたお酒はロマンチックなピンク色です。最初の年は宝満に焼津を混ぜたものでしたが、二年目からは宝満のみでつくられ、この米の赤はとてもいい色です。味は若い方や女性が好みそうなです。

古代史研究者として弥生時代のどぶろくを作っていた気はしますか?という質問について、お米は食べるために作られていたが、お酒にした可能性もある。農業には酒造りの可能性があり、赤米の玄米でお酒をつくった可能性があるのではないかとのことです。

登呂農耕文化研究所では真面目に復元研究をしていますが、お酒を造りたい発酵研の思いを汲んで、できるだけ古代の作り方を念頭においてストーリーを加えるのが役割と理解されているようです。

2026年はボランティアで代掻き、田植えと一回目の草取りが終わりました。8月8日に二回目の草取りがあります。当時も草取りはしていて鍬の一部は草取り用です。篠原先生から直接弥生時代の農耕についてお話を伺うことのできる貴重な機会ともなっています。ぜひご参加ください!

  •  参加登録後にメールでのリマインドがあります。届かない方は誤ったメールアドレスを記載されていると思われます。登録時にご確認ください。 
 

2026年6月20日(土) S-wave『Saturday Nature ~Shangri-La(シャングリ・ラ)~』

S-wave『Saturday Nature ~Shangri-La(シャングリ・ラ)~』に2026年は月に一回発酵研メンバーが出演することとなっています。6月20日(土)は理学部の丑丸先生が取り組む、南アルプスの高山植物から採った酵母をつかったウイスキー造りについてお話しされました。

丑丸先生は細胞生物学がご専門で、細胞分裂から細胞の中身を知る人間の老化などを見ていく医学が出口となるような研究をされています。番組内でも静岡大学テレビジョン下記の動画が紹介されていました。

細胞生物学で研究として使いやすいのは、培養しやすく、増殖が1.5時間と速く、遺伝子操作がしやすい真核生物で、顕微鏡でしか会えないほどサイズが小さく、ライフサイクルが短く、ヒトの細胞と似ている微生物の酵母です。

酵母を使って研究をされていることをきっかけに静大発酵研でサッカロマイセス(糖を好む)・セルビシエ(ビール)を自然界から探して、単離するという途方もないプロジェクトに携わられることになりました。偶然に左右されることから可能性を倍にするべく、理学部の丑丸先生と農学部の木村先生の二つの研究室で取り組まれました。

まずはNHK大河ドラマ「どうする家康」の2023年1月8日から12月17日までの放送期間に静岡市内の家康公所縁の歴史的な場から野生酵母を見つけ単離し、ビールをつくって販売するというハードなものでした。

このプロジェクトと並行して進められたのが南アルプスの高山植物から酵母を採ってウイスキーをつくるというものです。2021年末の発酵研の立ち上げの5,6年前から、リニア問題や環境アセスメントで大変有名な増澤先生と国立公園内の貴重な高山植物がどのような場所にどういった植物があるかを調べ、保全について考えてこられました。その際に高山植物の酵母を採る試みをされた経験がありました。これらの植物は商業的には利用できません。南アルプスユネスコエコパーク登録10周年にあたり、南アルプス地区限定で酵母探しにトライし、ハクモクレンから発酵能力の高い酵母を見つけることができました。現在は十山株式会社の広大な社有林からウイスキーのための酵母を探しています。井川蒸留所は南アルプスの水、木による樽などを用いてウイスキー造りをされていますが、酵母までテロワールの要素とする取り組みはまだ珍しいです。樽のなかで熟成されていっている原酒がどのようなウイスキーになるのかが楽しみです。