2026年9月19日(土) 藤井真生先生 S-wave『Saturday Nature ~Shangri-La(シャングリ・ラ)~』

S-wave『Saturday Nature ~Shangri-La(シャングリ・ラ)~』では、今年度月1回、発酵研メンバーが交替で出演しています。9月19日(土)の放送では、人文社会科学部社会学科の藤井真生先生が登場します。

藤井先生は、静大発酵研創設メンバーでご専門であるチェコを研究することになったいきさつや、チェコがどんな国か、また何が有名か。そしてチェコのビールについてお話くださいます。また後期から開講される発酵研の学際科目「発酵とサステナブルな地域社会研究」についてご紹介くださいます。

ぜひお楽しみください。

  • 出演番組:S-Wave 76.9『Saturday Nature ~Shangri-La(シャングリ・ラ)~』(毎週土曜 朝8:00〜10:00)
  • 出演日時:9月19日(土) 朝8:30頃から
  • 放送はサイマルラジオで全国どこからでもお聴きいただけます。同時放送のみ、アーカイブはございません。https://www.jcbasimul.com/swave

2026年8月15日(土)掛川東病院の宮地院長 S-wave『Saturday Nature ~Shangri-La(シャングリ・ラ)~』

静岡市でもユニークな病院長として知られる掛川東病院の宮地院長が日に焼けた姿で登場されました。日焼けしたのは島根県隠岐郡海士町で、離島での医療を支える取り組みをされていたからです。人口がきわめて少ない離島は医師看護師不足の課題最先端の場所です。この課題は、しかし5年程度のうちに掛川の問題となり、さらに5年程度で首都圏の問題となっていきます。

宮地院長は高齢化の進むアジア諸国でも活動をされています。宮地院長の目からすると、国民皆保険に支えられた日本の医療は他国に比べてかなり恵まれており、しかし恵まれすぎているがゆえに、社会保障まかせになるところがある、ということです。これに対して、他のアジアの国々では状況が全く異なり、自分たちの力でなんとかしないとという意識が強い。

宮地院長と発酵研をつなぐミッションであるビールについても話がありました。アルコールを一滴でも飲むと寿命が縮むとされ、医者が「ビールを飲みましょう」とはなかなかいえません。

しかし、他方で高齢者の健康を害する大きな要因は、社会的孤立であり、つながりを保つために、ビールの効用はとても大きいことを、宮地院長は指摘しています。ここ10年、孤独な人ははやくに亡くなってしまう、人とのかかわりがないと病気になってしまうといわれており、孤独と孤立は寿命と健康に悪い影響を及ぼすとされています。

かたやビールは、人類の歴史のなかで、コミュニティと結びついた飲み物であり続けてきました。古代エジプト、メソポタミア、中世以降のパブ文化、修道院におけるアルコール醸造など、ビールはコミュニティの中で造られ、楽しまれ、消費されてきています。掛川東病院では、カケガワビールとひまわりビールのコラボをしており、ひまわりの種から配り、育て、花を使ってビールをつくる過程で、参加者のつながりを生み出す活動をしています。

この活動を始めた5年前は、なかなか意義を理解されず、向かい風ばかりだったと宮地院長はいっています。しかし、この3年で大きく流れが変わり、自分たちも何か医療に関われる、医療と関わらなくともコミュニティを自分たちで生み出せる、自分たちらしいイベントを行えるという意識が高まりました。コミュニティづくりの動きが広がり、地域の力が盛り上がってきました。

ビールとコミュニティのつながりや、ビールへの地域性、地域文化の反映を話題にするなかで、最後に宮地院長が触れたのが、「お伊勢さん」の伊勢市にある伊勢角屋麦酒と発酵研のコラボで生まれた、特別なクラフトビール、KADOLABO 038 Accidental Terroir(アクシデンタル・テロワール)です。

Accidental Terroirは、静大家康公酵母(仮)3種類を使って醸されたビールです。「Accidental」という言葉は、酵母による発酵がいまだ人間が制御しきれているわけではなく、偶然による部分があるところ、また伊勢角屋麦酒の鈴木成宗社長(兼 静岡大学人文社会科学部客員教授)と静大発酵研との偶然の出会いが生み出したクラフトビールであること、に由来しています。

「Terroir」は、ワインでもっぱら用いられてきた言葉で、畑のテロワールとしてワインと土地と結びつけるものです。これに対してAccidental Terroirがアピールしようとするのは、「酵母のテロワール」です。家康公酵母もそうであるように、天然(野生)酵母が採取した土地との結びつきが意識され、ローカルな性格をもちます。地元の酵母とそれで醸したクラフトビールが、コミュニティの一体感を生み出す。それは、高校野球で地元の代表チームを応援したくなる気持ちと重なりあっているかもしれません。

Accidental Terroirは、香味がお花畑のように華やかで、次から次に色々なフレーバーが押し寄せてきます。樽で醸造されているので、樽由来の香りもします。瓶内二次発酵が進むためでしょうか、時間が経つとともに、グレープフルーツからマンゴーそしてバナナへと香りが移り変わっていきます。今後入手する機会があれば、何本か買って楽しんでいただきたいところです。ラベルも、かわいらしい色合いで、静大のロゴも入っているので、あわせて御覧いただければありがたいです。

ただし、大変申し訳ないのですが、このビールはすでに売り切れています。今月8日、第4回ISEKADO×おかげ横丁Beer Gardenが伊勢神宮参道にあるおかげ横丁にて開催されました。そこでAccidental Terroirが提供されるという話もあったのですが、製造担当者から売り切れである旨ききました。
しかし、静岡大学で保管しているものを、来年2月20日にグランシップで開催される、日本の酒シンポジウムの試飲会にて提供する予定です。日本の酒シンポジウムは、これまで山梨大学ワイン科学研究センター、新潟大学日本酒学センター、鹿児島大学農学部附属焼酎・発酵学教育研究センターにより開催されてきましたが、第6回となる今年度は、発酵研も加わり、山梨大学ワイン科学研究センターと共催で行います。基調講演では、Accidental Terroirを手掛けた伊勢角屋麦酒の鈴木成宗社長が登壇されます。

また、近い将来もう一度Accidental Terroirをつくっていただく機会があるかもしれません。その際は、ぜひ迷わずお買い求めください。

2026年8月15日(土)掛川東病院の宮地院長 S-wave『Saturday Nature ~Shangri-La(シャングリ・ラ)~』

S-wave『Saturday Nature ~Shangri-La(シャングリ・ラ)~』では、今年度月1回、発酵研メンバーが交替で出演しています。8月15日(土)の放送では、掛川東病院長の宮地紘樹先生が登場します。

宮地先生は、ひまわりビールプロジェクトで、カケガワビールなどの協力を得ながら、患者さんやそのご家族の孤立を防ぐ、地域ぐるみの取り組みを行っています。トークの話題は、宮地先生や掛川の方々と発酵研とのつながりが、クラフトビールをきっかけにして生まれてきたいきさつ、家康公クラフトと健康との関係、また医療従事者がおらず崩壊の危険に瀕している離島の医療をどのようにして支えていくか、など、盛りだくさんです。

また、大原所長も加わったコーナーの終わりには、伊勢角屋麦酒と発酵研のコラボにより、家康公酵母3種で製造したKADOLABO 038 Accidental Terroirの話もあります。ビールがどんな味がするか、どこで飲めるかなどをお伝えします。

ぜひお楽しみください。

  • 出演番組:S-Wave 76.9『Saturday Nature ~Shangri-La(シャングリ・ラ)~』(毎週土曜 朝7:30〜9:008:00〜10:00)
  • 出演日時:8月15日(土) 朝8:30頃から
  • 放送はサイマルラジオで全国どこからでもお聴きいただけます。同時放送のみ、アーカイブはございません。https://www.jcbasimul.com/swave

2026年6月20日(土) 篠原和大先生 S-wave『Saturday Nature ~Shangri-La(シャングリ・ラ)~』

S-wave『Saturday Nature ~Shangri-La(シャングリ・ラ)~』に2026年度は月に一回発酵研メンバーが出演することとなっています。7月18日(土)は人文社会科学部/登呂農耕文化研究所の篠原先生が登呂遺跡での「赤米」の栽培と、それを使用して地元酒蔵と連携して取り組む「酒づくり」についてお話しされました。

篠原先生は考古学がご専門で、日本で米作りが始まった弥生時代や農業の始まりについて登呂遺跡をフィールドに研究されています。中学時代から考古学が好きで、九州の古墳の一人で歩き回る子供だったそうで、40年にわたり研究をされています。

登呂遺跡は太平洋戦争中に見つかり、敗戦後の苦しい時代に研究が始められ、新聞などを通して2000年前の米作りをしていた人たちが知られるようになりました。教科書に載っていましたが、日本で色んな遺跡が見つかり総体的に知名度が下がっていました。

2000年代以降静岡市が改めて研究を始め、新たな調査による水田の跡など新たな発見により水田の規模、どのように作っていたのか、田植えをしていたのか、粗放なのか、技術がそれなりに整っていた様子など、細かいところがわかってきました。登呂は日本の米作りが始まった典型的な村だということが明らかとなっています。

現在の登呂遺跡は当時と同じように復元され、2009年に水田が再現され、ここ16,7年で道具や技術の再現も行われ、米作りをどんどん当時に近づけてきました。

今のお米とは違う。「古代米」といわれている米がどういうものかはわかっていません。籾も見つかり、炭になった米のDNAを根拠にどういう米かわかるが赤米だったかどうかわかりません。新嘗祭をずっとやっていたところに赤米や古いタイプのお米が多いようです。昔の登呂遺跡でもお米をつくり、40周年のときにお米を集めた。種子島宝満神社のお米などの栽培が始められました。

宝満は背の高いような稲穂になる米で、種子島の米は静岡の気候にもあっていてよく育ちます。この考古学研究の成果である米に目をつけたのが静大発酵研です。

登呂赤米酒完成披露会で紹介された試験醸造酒の色は、赤米の玄米の皮から出ており、通常の日本酒のように精米すると赤くなくなる。おいしいお酒をつくるためには精米しないとならず、赤米の赤い色を出すのに大村屋酒造場さんや萩錦さんは相当な苦労をされました。

宝満のみで作られたお酒はロマンチックなピンク色です。最初の年は宝満に焼津を混ぜたものでしたが、二年目からは宝満のみでつくられ、この米の赤はとてもいい色です。味は若い方や女性が好みそうなです。

古代史研究者として弥生時代のどぶろくを作っていた気はしますか?という質問について、お米は食べるために作られていたが、お酒にした可能性もある。農業には酒造りの可能性があり、赤米の玄米でお酒をつくった可能性があるのではないかとのことです。

登呂農耕文化研究所では真面目に復元研究をしていますが、お酒を造りたい発酵研の思いを汲んで、できるだけ古代の作り方を念頭においてストーリーを加えるのが役割と理解されているようです。

2026年はボランティアで代掻き、田植えと一回目の草取りが終わりました。8月8日に二回目の草取りがあります。当時も草取りはしていて鍬の一部は草取り用です。篠原先生から直接弥生時代の農耕についてお話を伺うことのできる貴重な機会ともなっています。ぜひご参加ください!

  •  参加登録後にメールでのリマインドがあります。届かない方は誤ったメールアドレスを記載されていると思われます。登録時にご確認ください。 
 

2026年6月20日(土) S-wave『Saturday Nature ~Shangri-La(シャングリ・ラ)~』

S-wave『Saturday Nature ~Shangri-La(シャングリ・ラ)~』に2026年は月に一回発酵研メンバーが出演することとなっています。6月20日(土)は理学部の丑丸先生が取り組む、南アルプスの高山植物から採った酵母をつかったウイスキー造りについてお話しされました。

丑丸先生は細胞生物学がご専門で、細胞分裂から細胞の中身を知る人間の老化などを見ていく医学が出口となるような研究をされています。番組内でも静岡大学テレビジョン下記の動画が紹介されていました。

細胞生物学で研究として使いやすいのは、培養しやすく、増殖が1.5時間と速く、遺伝子操作がしやすい真核生物で、顕微鏡でしか会えないほどサイズが小さく、ライフサイクルが短く、ヒトの細胞と似ている微生物の酵母です。

酵母を使って研究をされていることをきっかけに静大発酵研でサッカロマイセス(糖を好む)・セルビシエ(ビール)を自然界から探して、単離するという途方もないプロジェクトに携わられることになりました。偶然に左右されることから可能性を倍にするべく、理学部の丑丸先生と農学部の木村先生の二つの研究室で取り組まれました。

まずはNHK大河ドラマ「どうする家康」の2023年1月8日から12月17日までの放送期間に静岡市内の家康公所縁の歴史的な場から野生酵母を見つけ単離し、ビールをつくって販売するというハードなものでした。

このプロジェクトと並行して進められたのが南アルプスの高山植物から酵母を採ってウイスキーをつくるというものです。2021年末の発酵研の立ち上げの5,6年前から、リニア問題や環境アセスメントで大変有名な増澤先生と国立公園内の貴重な高山植物がどのような場所にどういった植物があるかを調べ、保全について考えてこられました。その際に高山植物の酵母を採る試みをされた経験がありました。これらの植物は商業的には利用できません。南アルプスユネスコエコパーク登録10周年にあたり、南アルプス地区限定で酵母探しにトライし、ハクモクレンから発酵能力の高い酵母を見つけることができました。現在は十山株式会社の広大な社有林からウイスキーのための酵母を探しています。井川蒸留所は南アルプスの水、木による樽などを用いてウイスキー造りをされていますが、酵母までテロワールの要素とする取り組みはまだ珍しいです。樽のなかで熟成されていっている原酒がどのようなウイスキーになるのかが楽しみです。

2026年5月16日(土) S-wave『Saturday Nature ~Shangri-La(シャングリ・ラ)~』

S-wave『Saturday Nature ~Shangri-La(シャングリ・ラ)~』に2026年は月に一回発酵研メンバーが出演することとなっています。5月16日(土)は静大発ベンチャー企業 Swyeast(スウィースト)株式会社代表取締役の農学部の木村先生が取り組む、野生酵母を使ったシロップなど発酵製品の開発についてお話しされました。https://www.shizuoka.ac.jp/news/detail.html?CN=11977 

木村先生は発酵シロップを持参され、実験室さながら一番おいしい分量でのソーダ割を造られるなど、料理番組風のやり取りが面白かったです。冬はお湯割りに、ノンアルビールや紅茶、アイスクリームやヨーグルトにもあいます。常温流通できる商品とのことです。

通常売られているただのシロップと異なり、発酵シロップは酵母が糖分を分解することでおいしい成分が出ていて、発酵させることで体にもやさしくなります。シロップに使われている夏みかん・だいだい・ゆずは木村先生たちが自分で取りに行ってきたものです。またエルダーフラワーといったハーブを用いてリラックスできるシロップも開発されました。

これらの製品は全て発酵がもととなっています。静大発酵研はアルコールを生み出す酵母を南アルプスや家康公の由緒ある場でイーストハントしてきましたが、その過程で、南アルプスで許可を頂いて山ウドの実などから採られたアルコールをつくるには「できの悪い子」を愛を持って活用し、パンを焼いたり、クラフトコーラを作ったりされてきました。

2026年4月18日(土) S-wave『Saturday Nature ~Shangri-La(シャングリ・ラ)~』

S-wave『Saturday Nature ~Shangri-La(シャングリ・ラ)~』に2026年は月に一回発酵研メンバーが出演することとなっています。4月18日(土)の大原所長とスペイン・バリャドリッド大学のダビ・カルバハル・デ・ラ・ベガ先生が出演しました。

ダビ・カルバハル先生は発酵研ができるきっかけとなった中世ビールのレシピを、カスティーリャ王国の2000以上の古文書から探して下さるなど静大発酵研の研究活動にご協力くださっています。このような長年の関係からバリャドリッド大学と静岡大学は大学間協定締結を進めていっています。

今回話題にしたのは発酵飲料のなかでもワインです。スペインのバリャドリッド大学が位置するワインの銘醸地「リベラ・デル・ドゥエロ」の歴史や経済、エノツーリズムを共同で研究する「ワインプロジェクト」を進めています。詳しくは『発酵と社会』3号をご覧ください。

日本のワイン文化には質、ラベル、DOへの認識など課題がまだ多くあります。静岡市のジビエの今後の展開、そしてジビエによく合うリベラ・デル・ドゥエロをより手頃な価格で輸入し、スペインワインのよさを知ってもらいたいです。