新学期のスタートに合わせて、人文社会科学部A棟ロビーに、静岡大学人文社会科学部のあゆみ(1968年以前)を紹介した常設パネルを展示しました。人文社会科学部は、1922年に旧制静岡高等学校として設置されて以来100年以上の歴史を有しますが、パネルを見ればその概要を知ることができます。
人文社会科学部の歴史についてもっと詳しく知りたくなった方は、ぜひ「人文社会科学部大学アーカイヴズ委員会(旧・大学アーカイヴズ・プロジェクト)」ページに掲載されている冊子や動画をご覧いただければ幸いです。
新学期のスタートに合わせて、人文社会科学部A棟ロビーに、静岡大学人文社会科学部のあゆみ(1968年以前)を紹介した常設パネルを展示しました。人文社会科学部は、1922年に旧制静岡高等学校として設置されて以来100年以上の歴史を有しますが、パネルを見ればその概要を知ることができます。
人文社会科学部の歴史についてもっと詳しく知りたくなった方は、ぜひ「人文社会科学部大学アーカイヴズ委員会(旧・大学アーカイヴズ・プロジェクト)」ページに掲載されている冊子や動画をご覧いただければ幸いです。
日本史分野の貴田潔研究室では、現在の静岡県掛川市に存在した遠江国原田荘という中世の荘園について、2021年度から現地調査を継続しています。これまで地域の文化財に関わる方々と連携しながら、また有志の卒業生・現役生たちとともに作業を進めてきました。
さて、2023年度は主に居尻地区・萩間地区で近世・近代史料の調査を実施しました。この地域は中世後期(南北朝~戦国期)の古文書にも登場し、およそ500年以上にもわたる村落の歴史を誇っています。中世から現代にいたる長い時間軸のなかで、生業や景観などに関わる多様な情報を史料から析出し、数世紀におよぶ地域社会の変遷を把握することを研究の目的としています。
また、今後は文献史料の調査だけでなく、灌漑体系の踏査や古老の方々からの聞き書きを含む野外調査も平行して実施していきたいと考えています。
現代の日本列島において多くの地域では、少子化・過疎化・限界集落化などの問題を抱えています。私たちの時代に残された歴史・文化資源を記録・保存し、次世代の社会に伝えるということは、ますます切実な課題になっていくでしょう。一方、調査を通じて、中世から連綿と続いてきた村落の歴史を解明し、そこに生きた人々の姿をより鮮明に描き出せるだろうことは、これからの研究上の楽しみです。

未整理の段階における近世史料

公民館での史料調査

現地調査中の昼食(差し入れていただいた季節のものをみんなで食べることも共同調査ならではの楽しみ)

中世的景観を復原するために今後も継続していきたい灌漑体系の踏査
なお、2023年度に採択された科学研究費・基盤研究(C)「排他的なナワバリを伴う村共同体の形成―生業論と景観論の融合から―」の一環として、今後も本研究を遂行していきます。
2023年度第10回地歴教員養成講座を開催します。
日時:2 月3 日(土) 13:30~
場所:共通教育L 棟204(通常と異なります。ご注意ください!)
内容:学生の模擬授業
<日本史>
・前島大陸(静岡大学教育学部4年):
「ムラがまとまりクニへ」
・河原崎洸希(静岡大学・大学院):
「モノから見る弥生時代の文化」
<世界史>
鈴木中流(静岡大学人文社会科学部3 年)
「フランス革命」
<教員採用試験対策:論述問題>
担当:松井秀明(NHK 文化センター)
牧野一高(榛原高校)
水野彰紀(静岡市立高校)
*連絡*
・高校教員の方でモノ教材などをお持ちの方は、講座の中でぜひご披露ください。
秋も終わりに近づき、日本史学研究室でも、4年生たちが卒業論文の執筆に専念する季節となってきました。彼ら・彼女らにとって、卒業論文を提出するまでは、大学附属図書館にも足しげく通わなければならない日々がしばらく続くことでしょう。
文字を介して過去を研究する歴史学(文献史学)では、当然のことながら、史料と先行研究の両方に向き合い、専門書とも格闘しなければなりません。したがって、学ぶべき環境として大学にどのような図書が揃っているかは、歴史学を専攻する学生にとって大切なことになります。
さて、静岡・浜松両キャンパスを併せた静岡大学の蔵書は約120万冊を誇り、そのなかでも十進法で「歴史」に分類された蔵書数は10万冊を超えます(2023年3月31日現在)。

静岡大学附属図書館の閲覧席

附属図書館の書庫
まず、静岡キャンパスの附属図書館に入ると、手に取った開架の図書を閲覧したり、自習したりできる閲覧席があります。
さらに、書庫のなかに入ると、そこには専門書がずらりと並べられています。これらの膨大な蔵書は静岡大学が長年の研究・教育活動を通じて収集したもので、地方国立大学として他の大学にも見劣りしないコレクションともいえます。

書庫のなかに並べられた日本史関係の専門書
静岡大学に限らず、これから大学で歴史学を学ぼうとする人にとって、自らの知的な関心に応えられる研究環境がしっかり整えられているかは、その大学を知る上で重要な情報になってくるでしょう。そして、知的な能力を培う訓練として、文章を読み、論理的な思考を導き出すことは、これからの世界のなかで大学生や社会人にも求め続けられていきます。

附属図書館から望む、秋の終わりの大学キャンパス
静岡大学人文社会科学部考古学研究室では浜松市とともに、浜松市北区滝沢町に所在する滝沢鍾乳洞遺跡と行者穴遺跡の発掘調査を2020年度から継続的に実施しています。滝沢鍾乳洞遺跡と行者穴遺跡はお互いに近接する洞窟遺跡です。行者穴遺跡においては1998年度に浜松市博物館による発掘調査が実施され、縄文時代草創期に遡るとみられる資料が出土していました。2022年度にその調査区を再発掘したところ、後期旧石器時代後半期の初頭に遡る炉跡とみられる遺構が残されていることがわかりました。今年度(2023年度)は、9月12日から26日の15日間で行者穴遺跡の発掘調査を実施し、昨年度の調査区の土層断面を記録するとともに、調査区を拡張して発掘しました。そうしたところ、後期旧石器時代後半期初頭の文化層よりも新しい時期(あるいは時代)の文化層が残されていることが新たにわかりました。今後、出土遺物の年代測定を実施して、その文化層の年代を明らかにする予定です。なお、今年度の発掘調査は科研費基盤研究B「更新世末から完新世初頭における先史狩猟採集民の生態資源利用をめぐる研究 」(2023年4月~2028年3月 代表:山岡)の調査研究として実施されました。

日本史分野・考古学分野では、11月4日(土)に、それぞれの地域で文化財の保存と活用に携わる卒業生の先輩方をお招きする「読書会」を実施しました。今年度は「まちづくりと文化財の活用」という共通テーマを立て、各報告のもと、卒業生・在学生・教員が議論を交わしました。世代を超えて両研究室のつながりをつくり、相互に知見を広げ、学び合う場となっています。
・菊池吉修:
「文化財を活かした地域づくり~静岡県での取組~」
・恩田知美:
「国史跡船来山古墳群を活かしたまちづくり~小さな本巣市だからできること~」
・山本邦一:
「基礎自治体の文化財行政職員に求められること~掛川市の事例~」
