オンラインセミナー:森と山の科学 #6「森林管理における早生樹利用」

趣旨
今年度第一回目のオンラインセミナーは早生樹に関する話題です.林業の「成長産業化」の戦略として,国内木材資源の利用促進のための主伐更新が進められています.その更新材料として,短期に収穫可能な早生樹(初期成長スピードの高い樹種)への期待が高まっており,これが行政トレンドの一つとなっています.
 初期成長の大きい種の植栽は下刈り期間の短縮など保育コストの低減が可能であり,さらにそのコストが早期に回収できることから森林所有者の再造林意識を高めることが期待されています.なにより関連企業による木材資源量の安定的な確保に対するニーズは高く,川下発信型の提案として早生樹植栽が広く認識されるようになってきました.素材が早い回転で安価に供給されることで,木材産業界にとって早生樹植栽は効率的な経営戦略が可能になるかもしれません.
 一方で,森林は多様な生態系サービスを提供する空間であり,林業はその空間の適切な管理を負託されている活動です.また林業はその対象地の広がりや地形の複雑さゆえに自然条件下での生物の営みに依存する粗放的な(半自然的な)土地利用であるため,対象空間の長期的なリスク管理はもとより周囲の生態系へのインパクトに配慮する倫理基準を維持することも求められます.このように資源利用の効率化以外の観点でも早生樹利用のありかたを議論する必要があるでしょう.
 長池氏には,早生樹に用いられることの多い外来種あるいは国内移入種についてのこれまでの国内外の数多くの研究例を紹介いただき,過去の研究でどのようなことが分かっているのかについて整理していただきます.
 渡邊氏には,早生樹を利用した森林の育成方法について,古い概念でありながらも早生樹を組み込んだ新しい生態管理システムをご提案いただきます.
 今回のセミナーは,参加者の皆さんととともに,早生樹を利用した森林管理のより良いありかたを考える場としたいと思っています.

実施概要
講演者1:森林環境研究所総括研究員 渡邊定元(元東京大学農学部教授、元三重大学生物資源学部教授)
講演者2:山梨県森林総合研究所研究管理幹 長池卓男
コーディネーター:静岡大学農学部教授 水永博己
日時:2022年6月30日19時~20時半
使用するオンライン会議ツール:Zoom
視聴料:無料
可能視聴者数:60名(先着)
申し込み先  Google forms  
申し込みいただいた方に接続方法等をご連絡します。
※Google forms にアクセスできない方は以下のアドレスまで直接ご連絡ください。
kurihara.yohsuke [at] shizuoka.ac.jp ([at] → @)