南アルプスブランチ / South Alps Branch



■南アルプスブランチ



南アルプスブランチ(中川根)は、大井川水系の榛原川上流部に位置しており、南アルプスの副稜線、蕎麦粒山(1,627m)の東に位置する八丁段(1,562m)から板取山(1,513m)までの稜線から榛原川までの急峻な山腹斜面(標高390~1,560m, およそ260ha)にあります。

中央構造線の破砕帯に起因する多くの崩壊地があり、特に25haに及ぶ大崩壊地ホーキナギは圧巻の光景を示しています。地質は西南日本外帯に位置する中生代の四万十帯に属し、破砕された砂岩、頁岩の累層を主とし、チャート、凝灰質頁岩の薄層をはさんでいます。

土壌は、上部地域ではやや浅い土層の乾性型褐色森林土壌が分布し、中腹部~下半部では、土壌の厚い腐植に富んだ適潤性褐色森林土壌が分布します。年平均気温は7~13.9℃、年降水量は570mの気象観測地点で2,500mmです。冬季の積雪は中腹以上でみられ、山頂付近では1mに及ぶこともあります。

植生は、中腹下部の暖温帯から稜線近くの冷温帯にわたる気候に対応して、暖温帯常緑広葉樹林帯から冷温帯落葉広葉樹林帯まで変化します。樹種が非常に豊富で、県自然公園の特別地域に指定されています。

主な広葉樹高木として、沢沿いにケヤキ、サワグルミ、カツラ、ケンポナシ、シオジなどが分布し、岩場や崩壊地跡にはフサザクラ、ヤマハンノキ、ヤシャブシ、ヤマグルマ、稜線から山腹にかけてはブナ科(ブナ、ミズナラ、クリ、アカガシ、ウラジロガシ、スダジイ)、カバノキ科(アカシデ、アサダ、イヌシデ、クマシデ、ミズメ、ウダイカンバ、ダケカンバ、サワシバ)、ムクロジ科(アサノハカエデ、イタヤカエデ、イロハモミジ、ウリハダカエデ、オオイタヤメイゲツ、コミネカエデ、コハウチワカエデ、チドリノキ、テツカエデ、ハウチワカエデ、ホソエカエデ、メグスリノキ)、ホオノキ、アワブキ、ミズキ、イイギリ、ハリギリ、シナノキ、ヒメシャラ、ナツツバキなど分布します。

天然生針葉樹としてはウラジロモミ、ツガ、ハリモミなどがあります。また、稜線沿いにはアセビ、サラサドウダン、シロヤシオ、ベニドウダン、ミツバツツジ、ヤマツツジなどのツツジ類やミヤマザクラ、マメザクラ、イヌザクラ、ウワミズザクラ、アズキナシなどのバラ科の樹木が多く、早春の開花と秋の紅葉シーズンには、多くの観光客が訪れます。しかし、ウラジロモミを中心にシカの剥皮被害による林冠木の枯損が目立ち、林床のスズタケの衰退も一部で始まっており、獣害対策が急がれます。

フィールドの中腹~下部には、スギ、ヒノキの人工林(38ha)が造成されています。斜面崩壊や土砂移動、自然植生の生態系機能に関する教育、研究が行われています。

>南アルプスブランチの林班概要図(pdf)

◯研究教育設備
【林冠アクセス用鉄塔】
樹木の生理生態学的特性や微気象要因の測定を目的に建設された高さ15mの鉄塔です。樹木の特徴を詳細に調査できるように、複数の樹木を囲むように建設されています。合計で2基建設されており、1基はオオイタヤメイゲツ群落内に、もう1基は樹種多様性の高い群落内に設置されています。

鹿の食害を避けるために、各鉄塔の建つ林分は20m×20mの防鹿柵で囲まれています。2014年から温湿度、光量子束密度、放射量、土壌体積含水率、地温、風向風速の測定を開始しました(温湿度以外は4月~12月までの測定)。



◯宿泊施設
事務所:榛原郡川根本町元藤川にあります。事務室の他に、風呂、トイレ、和室が整備されており、最大で10人の宿泊が可能です。事務所からフィールドの最下部までは、車で30分ほどかかります。

山犬段宿舎:山犬段(標高1,400m)にある木造の2階建て山小屋風宿舎で、最大40名が宿泊可能です。ホーキナギまで徒歩20分の場所にあります。風呂、トイレ、厨房、洗面所が整備されています。生活水は沢からポンプでくみ上げており、電気は発電機で発電します。2013年にトイレ、風呂、洗面所を一新しました。

1F寝室(20名、2段ベッド)、講義室・食堂(30名)、風呂、トイレ、洗面所、2F寝室(20名、和室+2段ベッド)、管理人室(3名)

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