今般英国Ofcomから、英国アマチュア無線(筆者の場合、1997年に返還前の香港で筆記・2000年にロンドン郊外で実技の試験にそれぞれ合格)の「HAREC (Harmonised Amateur Radio Examination Certificate / 統一アマチュア無線試験証明書)」を受領した。今まで日本の第一級アマチュア無線技士従事者免許に紐づけされた、いわゆる「日本版HAREC」しか持ち合わせていなかったが、本場CEPT加盟国からの純ピンHARECを受けたので、「日英比較」として両者を詳しく見ていくことにする。
なお、HARECに関する詳細な解説はJJ1WTL本林氏による文献(CEPT勧告T/R 61-02邦訳・Hamlife.jp掲載の記事)が詳しい。また、日本版HARECの海外展開例は、拙稿などを参考されたい。HARECの発行の拠り所となるオリジナルな「CEPT Recommendation T/R 61-02(以下単に「TR 61-02」と表記。)」はこちらを。
TR 61-02 のANNEX1の3.には、HARECに記載すべき最低限度の情報、が示されている。
原文抜き書き>>
The Harmonised Amateur Radio Examination Certificate shall contain at least the following information in the language of the country of issue as well as in English, French and German:
a) a statement to the effect that the holder has passed an examination, meeting the requirements described in this recommendation;
b) the holder’s name and date of birth;
c) the date of issue;
d) the issuing authority
<<ここまで
(邦訳)
HARECには少なくとも以下の情報が発行国の言語、および英語、フランス語、ドイツ語で含まれること。
a)保有者が試験に合格し、この勧告に記述されている要件を満たしている旨の陳述
b)所有者の名前と生年月日
c)発行日
d)発行機関
そして、TR 61-02 ANNEX5に、書式例が示されている。
以上を踏まえて、まずは日本版HARECは…
上記a)~d)に加えて、「資格( a)の陳述で充分なのだろうが、さらに加えて)」「従事者免許番号」「(試験の合格日ではなく)従事者免許の発行日」が記載。発行機関は「日本国総務省東海総合通信局」の表示のみ(で連絡先とかの記述がない)。
次に、英国版な本家HARECを見てみよう。
この様式は、TR 61-02 ANNEX5の記載例を忠実に守っていて、発行機関の連絡先(住所・電話とFaxの番号)が明記されている。
さらに、a)保有者が試験に合格し、この勧告に記述されている要件を満たしている旨の陳述(上記の英語で記載されているところでいうと1.、仏語は2.、独語は3.に相当)中に、TR 61-01のAppendixⅡの読み替えに関することまで述べられている。最新版のTR 61-01にはそもそもAppendixは存在していない(ANNEXならある)。改定前の1999年版を見ると確かに当該読み替えに相当すべき表がある、少なくとも最新版を引用できる場合にはこの読み替えは不要ではないだろうか。
いずれにしてもこれで、筆者が「上級の英国アマチュア無線国家試験に合格した」という事を証明できる。2003年に隣家火事から類焼で、このあたりの関係書類のほぼ全てを焼失してしまっていたからである。
この証明書を有効に使うためには、世界的な疫病騒ぎが収まって、以前のように安心して世界を飛び回れる環境が再構築されることが必須である。最前線の医療関係そのほか、立ち向かっている皆さんに心からのエールを送りたい(無線のことだけでなく、国際的な公共の福祉の回復のため)。
(11th June 2020 Y.SUZUKI M0WRJ)