まずは上の画像をご覧ください。画像の左下に「Callsign: EI-2KT」とありますが、これが今回私が取得したアイルランドのコールサインです。
サイトはアイルランドの通信規則委員会(以下「ComReg」とします)のelicensingで、免許申請等のポータルとなっています(詳細後述)。
今回私は、「日本国発行のHAREC(統一アマチュア無線試験証明)」を用いて、CEPT T/R61-02ベースにアイルランドで開局申請を行いました。
アイルランドは英国と並んで「シュンゲン協定」に加盟しておらず、シュンゲン域内でCEPT T/R61-02な申請を行うときに立ちはだかる「長期滞在できるビザ」問題で頭を悩ませる(結果として申請をあきらめる)ことなく(アイルランドは、日本のパスポート保持者に「90日まで無査証滞在可能」「その滞在中にさらに一回だけ延長可能、あるいは就労ビザの切り替え可能」だったりします)、要は免許申請に際して「長期滞在かどうかビザで判断する」プロセスがありません。また英国免許ではHARECベースで開局した場合「Full (Reciprocal)クラス」な免許になってしまい、更にそれをベースにCEPT T/R61-01な運用をすることができませんが、アイルランドの場合、「CEPT クラス1 (以下「CEPT1」とします)(モールス技能が証明できる場合)またはCEPTクラス2(同「CEPT2」)」なクラス分け、即ちアイルランドで試験を受けて開局する方と全く同じグレードな免許が発行されますので、この免許ベースでCEPT T/R61-01ができます。
すなわち、日本HAREC所持者にとってアイルランド免許は「世界最強」と言っても過言ではないのです。
さて、そんなアイルランドの免許ですが、個人局は「CEPT1・CEPT2・Visitor」の3種類あります。HARECを用いて申請することを念頭に、以下その分類分けを詳述します。
CEPT1:HARECの他、「5WPMの能力を示す証拠」の提出が必要。受け取るコールサインは原則として2X2、私の例がそれです。ルール上、プリフィックスの次の数字が2桁で1文字サフィックス(例えばEI27J)もあり得ますが実際例を知りません。CEPT T/R61-01可能。5年免許で申請料100ユーロ(65歳以上ではじめてコールを取る場合などディスカウントあり)。
CEPT2:HARECのみで申請可能。受け取るコールサインは、サフィックスの最後がBとなる2×3(例えば EI2KTB)。5WPMの証明が得られると昇級可能でその時はルールブック上「この場合のみコールサインが変更となる」とありますが、3文字サフィックスのBが取れるだけなのか2文字も新たらしくなるのかルールブック上からは読めません。CEPT T/R61-01可能(ただし、読み替えライセンスクラスに注意/RSGBサイトにある「モールスが要求されない国リスト」はここをクリック)。5年免許で申請料100ユーロ(65歳以上ではじめてコールを取る場合などディスカウントあり)。
Visitor:HARECが無い方(日本の二級~四級)向け。日本の免許証と免許状の英文証明で申請(日本のコールサインに関係なくアイルランドのコールが出ますが、日本の免許状に書かれた周波数や電力が吟味され操作範囲として指定される)。受け取るコールサインはサフィックスがVで始まる3文字(例えばEI2VKT)。CEPT T/R61-01できません(英国の免許と同じ)。申請料は30ユーロ、ただし最長12か月免許で更新ができません(長く使うならテンポラリーなコールじゃなくて試験を受けてちゃんとしたコールにしようよ、という意図か?)。
その他詳細は、ルールブックをご参照ください。ComRegサイトからダウンロードできます。→Amateur Station Licence Guidelines R4
この画像が、アイルランド版「申請Lite」な『eLicense』ポータルのトップです→https://www.elicensing.comreg.ie/login.aspx
このサイトでHAREC証明書やモールス技能証明のアップロード、免許代のオンライン決済(カード払いできます)、記載事項の変更申請、5年ごとの再免許申請、などができます。某国の同様のサイトとの決定的な違いは「いちいち葉書でIDとかが届かない」「カード払いができる」「免許情報は郵送されずダウンロード」等沢山。
詳しい使い方はこちらをご参照ください、→https://www.comreg.ie/media/2018/04/Amateur-Guidelines.pdf
前述した3種類(CEPT1/CPET2/Visitor)全ての申請ができます。まずはアカウントを作ってください、以降は「ブログを新しく作る」ような感じでどうぞ。
私の場合、1回ドジを踏み(当然CEPT1が欲しくて申請したのに、プロセスの最初になぜか「Visitor」なボタンをクリックしてしまっていて、30ユーロの請求が来た時点で「これは違う」と、キャンセルした)手間取った感はありますが、普通の方々でしたら申請完了から数日あれば免許が出ると考えます。
HARECをお持ちの日本の皆さんにとって、「電信技能証明」が最大の問題かと思います。私の場合は2000年にロンドンで受検したRSGBのコードテストの成績表があり、これを提出したらOKとなりました。日本では、JARLが段位認定をする制度がありますが、あれが英語版で発行できるならば代替になるかもしれません(確証はありませんがRSGBでOKならJARLでも、と単純に思っただけです)。あるいは、アイルランドに渡りダブリンで実際にモールスの試験を受けてしまうのも良いかもですね(アイルランドの連盟のサイトに案内があります、ここをクリック)。いろいろな楽しみ方が想定できます。
では、あと何人かで EI2KWですよ、どなたの手中に(Hi)?。
73 DE EI2KT also M0WRJ(exM1DVF),WR1J等 すずき
※申し訳ありませんが、細心の注意は払っておりますが不正確な情報が含まれているかもです。必ず公式なComRegからの情報をご確認の上アクションを。※