2026年9月19日(土) 藤井真生先生 S-wave『Saturday Nature ~Shangri-La(シャングリ・ラ)~』放送内容

藤井先生は西洋史がご専門で中世チェコについて研究されています。高校時代になんとなく歴史をやろうと思っているところに旧東欧が崩壊したことから多くの関連文献が出回り、チェコやハンガリーが言語も違うのにハプスブルク帝国に入って行き、民族主義の中で独立していったのかなどに関心をもたれたそうです。大学でたまたまスラブ言語を学ぶ機会があり、気づいたらチェコ語を習っていたというのがきっかけだそうです。プラハの春といっても今の学生にはピンと来なくて、教科書の中の出来事なのかもしれません。

チェコはドボルザークやカフカ、ボヘミアングラスや人形劇、おみやげのガーネットなどが日本でも知られていますが、発酵研に連なるのはビールで、チェコのビールの個人消費量は世界一です(*しかしながら藤井先生は全くお酒が飲めません)。ピルスナーはチェコ語の形容詞ピルゼンから、バドワイザーはブドバルがもととなっています。

ビールといえばドイツのイメージがありますが、ベルギー、アイルランド、ボヘミア、北ヨーロッパなどでも飲まれていますが、ワインとの関係で地域差がみられます。ウィーンではワインが好まれ、静岡大学が協定を結んでいるチェコのブルノ大学やマサリク大学があるモラヴィア地方ではワインが飲まれ、ぶどうができない北や不作の年にはビールが飲まれたようです。チェコではミュシャ(ムハ)のアールヌーヴォー的なラベルのワインがお土産物として売られています。

現在のチェコには数百というビール醸造所がありますが、中世ヨーロッパではワインがメインの重要な飲料でした。ビールは日常的な飲料で駐屯地の兵にはビールが支給されていました。ビールはエルベ川を通じてハンブルクから、また北海やバルト海で交易されました。

夏が蒸し暑い日本ではビールはのどごしが重視されますが、ヨーロッパのビールは麦の味がします。ジョッキでごくごく飲むこともありますが、ビールを頼んでカフェでちびちび飲みながら読書するようです。映画で見られるシーンには階段の何段目かに置いておいたビールが適温とあるなど、室温でも大丈夫だそうです。働き方も日本と異なり、朝が早く、10時ぐらいにビールを立ち飲みし、次の現場に行くなど仕事中の軽く一杯はタブーではないそうです。

藤井先生は一般の方にも受講して頂ける市民開放授業を運営しておられます。発酵研では学外の方に来ていただいての共同研究の発表を重ねており、それらを教育現場に還元するものです。どの学部からも受講できる学際科目で、文理融合で実務家の方たちも授業を担当されます。前期はなく、後期のみで10月から授業開始です。申し込みは静岡大学市民開放授業をご確認ください。

学際科目「発酵とサステナブルな地域社会」では、農理の先生が発酵や酵母とはなにか、人文系の先生が発酵飲料の歴史と文化、法と経済をビールとワインなどから紐解いていきます。また大村屋酒造場の杜氏の日比野さんが日本酒を、井川蒸留所の瀬戸さんがウイスキーについてて、静岡県沼津工業技術支援センターの袴田さんから発酵飲料が誕生するまでにどのような実験をしなければならないかなどを講じてくださいます。

学問、企業、酵母と歴史文化と人間の社会などを総合的に学ぶもので、農学部の学生さんたちからは自分が勉強していることが社会とどうつながっているのか、文系の学生さんたちも地域のものを使っていかに自治体に還元しているのかがみえてくるなど、楽しんで受講してくれているようです。

11 発酵とサステナブルな地域社会 授業計画
第1回(10/2):オリエンテーション(藤井)
第2回(10/9):発酵食品と酵母(木村) *オンデマンド
第3回(10/16):酒造り(日比野)
第4回(10/23):アメリカの演劇文化と発酵(辻)
第5回(11/6):Brewing and Home(鈴木)
第6回(11/13):自然界由来微生物を活用したビールの開発(袴田)
第7回(11/20):都市社会におけるビール文化の歴史(藤井)
第8回(11/27):静岡のクラフトビール(橋爪)
第9回(12/4):花酵母の単離とその応用(丑丸)
第10回(12/11):日本酒のテロワール(佐藤)
第11回(12/18):環境保全と発酵飲料(米谷)
第12回(1/8):南アルプスでウイスキーを作る。(瀬戸)
第13回(1/8-15):ビール醸造と法令(横濱) *オンデマンド
第14回(1/15-22):発酵飲料・食品と SDGs・カーボンニュートラル(板倉) *オンデマンド
第15回(1/22):ビールを通じたサステナブルな地域社会創生の試み(大原)