2024年11月9日 テクノフェスタでの公開講演会の報告

2024年11月9日に浜松キャンパスで開催されたテクノフェスタにおいて公開講演会を行いました。

第一報告はふじのくに地球環境史ミュージアムの佐藤洋一郎館長「三遠南信の食文化」でした。浜松の伝統食を考えるにあたって、発酵大豆文化圏である三遠南信の地理と、それが南アルプスを通る三州街道(塩の道)と秋葉街道(塩の道)形成したとの説明がありました。イギリス人外交官アーネスト・サトウは水窪の塩の道を歩き、巡礼路としての役割を果たしていることを指摘しているそうです。

水窪には縄文時代の遺跡があり、南北朝時代の城があり、また戦国武士たちの活動の場で兵站でもありました。この地域は水田稲作文化と対極にあり、焼畑で得る低収量のオオムギやトウモロコシやソバなどの雑穀文化で、オランドやジャガタと呼ばれるサトイモやジャガイモが南方経由で渡来し、また採取文化の残滓としてトチが食されたそうです。 県の東西には弥次喜多甘味道中があり、柏餅、饅頭、蕨餅、子育飴、安倍川餅、うさぎ餅、追分羊羹、富士見餅、亀鶴餅といった甘味が東海道を歩む人々を支えていました。三遠南信の発酵食文化は武家と旅人の食文化であると言えるようです。

第二報告は十山株式会社の平井岳志さんでした。今回の報告は2024年11月3日の同じ題目「南アルプス高山植物由来酵母によるウイスキー」です。詳細はこちらをご覧ください。

第三報告は静岡県ガストロノミーツーリズムフォーラム統括コーディネーターの岩澤敏幸氏「浜松から広がる静岡ガストロノミーツーリズム」でした。まず静岡県そして静岡市が進めているガストロノミーツーリズムの定義が紹介され、対象となるジオガストロノミー、地域食材、料理法、食を取り巻く歴史文化伝統について説かれました。観光地ブランドに影響を与える要因として明確なイメージ、接客、歴史文化などを挙げ、浜松市が鰻、徳川家康など明確なのと対照的に静岡市には明確なイメージが不在であることが指摘されました。ガストロノミーツーリズムは地域の全体が関わり、他人事から自分事への転換が重要で、今後関心をもってもらいたいと浜松ガストロノミーツーリズムツアーを創ってみませんか<日帰りコース・お泊りコースは問いません>として、提案を募り、最優秀ツアー案を商品化し、3月に実施予定であるとの呼びかけがありました。

当日のプログラムはこちらをご覧ください。

テクノフェスタでも午前から発酵研の展示を行いました。多くの方にご来場いただき、盛況でした。