「『どうする家康』と「「家康公クラフト」ー家康公の駿府生活を訪ねて」は静岡新聞と前日のNHKニュースでの告知のお蔭もあり、当初の定員を上回る80名を超える参加者があり、大盛会でした。
人文社会科学部の松本和明先生の「武士とビール」では、家康公がビールを呑んだか呑まなかったかを含め、家康公の時代から幕末までの武士と日本に入ってきたビールとの関係について、扱われました。
同じく人文社会科学部の貴田潔先生の「中世の酒宴と今川氏」では、寿桂尼の甥山科言継による『言継卿記』を通して、戦国期の酒宴で、どのようなものが食されていたか、酒好きと思われる言継の飲みっぷり、そして駿河国における酒造のありようなどについて、ヴィヴィッドに描かれました。
ふじのくに地球環境史ミュージアムの佐藤洋一郎館長の「家康公時代の発酵食品と「駿府料理」の再現」では、家康の食事の再現に関わられた経験から説き起こし、粽と柏餅をめぐる東西文化の違い、味噌や納豆、きなこといった大豆製品の歴史的・地理的な広がりなど、食文化研究に精通されている佐藤先生から表題に関わるさまざまな事例や視角が示されました。
理学部の丑丸敬史先生からは、静岡市の家康公に関わる歴史拠点からの野生酵母採取と家康公ゆかりのクラフトビール造りのなかで、なかなか好適な酵母が採れずに苦心したこと、そのなかで酵母を見つける技術に工夫を加えていくなど試行錯誤を続けたこと、それらの労苦がようやく報われそうな状況であることなどが報告されました。
会場の熱量も高く、これまで以上に質の高い研究会になりました。