井川の柚子を収穫しました

現在、静岡市との共同研究で、南アルプスユネスコエコパーク10周年の記念事業にむけて、南アルプス地区の植物から酵母を単離し、また酵母を用いた発酵製品の開発を行っています。

その一つが南アルプス発酵シロップです。シロップのフレーバーに井川の柚子を入れることを企画したのですが、そのための柚子をどうしようと思っているうちに1月になってしまいました。思い余って小河内の望月さんに連絡すると、木になっている柚子を収穫に来ないかというお返事。そして早い方がいいということで、農学部の教職員2名で井川に行くことにしました。

1月の始めですが、まだこの冬は雪がなく道路規制も少なく、普通タイヤの軽自動車で行くことができました。望月さんご夫妻のお宅に到着すると待ってましたとばかりに、準備が始まり、柚子狩りに出発です。

柚子の木は、斜面の上にあり、からみつく草をかきわけて斜面を登ります。大きな木です。たくさんなっていますが、枝にバラのとげの数倍ほどの大きいとげがあり、これは刺さるとなかなか痛いというか、血が出ます。このとげを慎重に避けながら、枝から柚子を切り取ります。地域の若手の方2名が応援にきてくれ、望月さんと一緒に、梯子と電ノコを、斜面をあがって持ってきてくれ、大きな枝を切り落としてくださいました。そして、皆さんの協力のもと、小一時間ほどで、段ボール箱2個分の柚子を収穫できました。

そのあと、望月家で楽しいランチタイムを過ごさせていただき、大学に戻りました。ご馳走になったおでんのジャガイモと、手作りキムチは、忘れられない味の一つになりました。ありがとうございました!

商品の開発は我々にとって未開の部分であり、どうなるかわからない部分もありますが、井川の方のご厚意でたくさんの柚子を使わせていただくことになり、商品の開発に背中を押された気持ちになりました。

2024年2月17日「ワインをめぐる飲酒文化と心理学」風景

2月17日(土)に「ワインをめぐる飲酒文化と心理学」講演会を開催しました。 会場は静岡大学静岡キャンパス人文E棟と街中から遠かったにもかかわらず盛会で遠方からの参加者もいらっしゃいました。

第一講演は日本女子大の加藤玄先生の「サン⁼テミリオンのワインの歴史と「テロワール」概念」で、銘醸地サン=テミリオンがどのように誕生し、ワインを醸造し、世界遺産となったのか、またジュラードの役割についてお話し頂きました。

第二講演は静大・発酵研の藤井真生先生の「中世の東中欧におけるワインの宗教的・文化的位置づけ」で、ぶどうがない地域でのワインの扱い、特にキリスト教化や王権とワインの関係について史資料をもとに講じて下さいました。

第三講演は発酵研で初めての社会心理学からの講演で橋本先生に「心がつなぐお酒と社会」というテーマで飲酒した時の行動から人と人との親しさがなぜ促されるのか、心からどのような飲酒文化が形成されうるのかといった展望も示して頂きつつ、お酒のポジティブな側面についてお話しくださいました。

会場はかなりの熱気で、質疑応答の時間が全く足りませんでした。今後の展開が楽しみです。

プログラムはこちらをご覧ください。

2024年3月16日 地域の歴史文化を活かした酒造り

発酵研では酵母と由緒をつなげた発酵飲料の開発を手掛けています。とりわけ日本酒は重要な素材です。このシンポジウムでは洛中に唯一存続している蔵元である佐々木酒造の佐々木晃さんに京都での酒造りや産学連携の推進について基調講演をして頂きます。江川文庫学芸員の橋本敬之さんには戦国期の江川酒がなぜ造られるようになり、そして造られなくなったのかについて発見されたばかりの史料を手がかりにおしえて頂きます。北海学園大学の大貝先生には、東北6県の酒造りのトレンドと北海道がなぜ唯一酒造が増えていっているのかについてお話しを伺います。

地域の歴史文化を活かした酒造り

日時: 2024年3月16日(土)13時00分~16時00分(12時30分開場)
場所: レイアップ御幸町ビル7階 7-D会議室(JR「静岡駅」徒歩3分)

参加申込制です。 こちらからお申し込みください。申込みが定員に達しましたら参加の受付を終了させていただきます。

以下のプログラムは現時点でのものです。変更の可能紙があります。

司会 藤井真生(静岡大学人文社会科学部教授)
13:00-13:40
洛中での酒造りと大学との麹をつかった食品開発
佐々木晃(佐々木酒造株式会社代表取締役社長)
13:50-14:30
橋本敬之(公益財団法人江川文庫学芸員)
14:40-15:20
北海道、東北(山形・宮城)の酒造産業
大貝健二(北海学園大学経済学部教授)
15:30-16:00
パネルディスカッション
進行役:佐藤洋一郎(ふじのくに地球環境史ミュージアム館長)
参加者:佐々木晃/橋本敬之/大貝健二

大村屋酒造さんでの酒造り体験

昨年度に引き続き、今年度も年末の12月26日に、島田の大村屋さんで酒造り体験をさせていただきました。今回は、農学部の教職員3名と学生二人が参加しました。

朝3時20分に静大正門に集合し、車で現地に到着。辺りは真っ暗ですが、大村屋さんの建物からは、窯からでる湯気の煙がでているのがみえます。

作業は、蒸しあがった米を熱いうちにほぐす作業、若い学生は蒸しあがった米を肩に担いで運ぶ作業、麹にまぶした蒸米をほぐす作業、酒母を作る作業を手伝わせていただきました。真冬の夜明け前の寒い場所での蒸し米の作業、麹菌をまぶした米をほぐすのは温かい部屋の作業と、結構な温度差の中をいったりきたりしました。

ともかく清潔で丁寧な作業空間でした。一作業終わるごとに丁寧に掃除をします。麹や酵母だけをうまく育てて、他の雑菌ははいらないようにする作業です。また、作業では米一粒たりとも無駄にしません。

一段落すると、温かいお味噌汁がついた朝ごはんをご馳走になり、またその他の場所も案内していただきました。

酵母の培養温度などいろいろな点で、今後の我々の野生酵母の活用に関する活動において、参考になることがありました。酒造りを体験すると、伝統的な工程が、先人たちが発酵が微生物がなせる業とは知らないのにもかかわらず、麹菌や酵母にとって好都合の環境を作っていることがわかります。去年も感動しましたが、今年もまた感動した体験でした。

2023年12月23日(土)「家康公クラフトというコンテンツ」風景

12月23日(土)「家康公クラフトというコンテンツ」講演会が無事終了しました。大学関係者、学生のみならず自治体関係者、地元企業の方など幅広い方にご参加頂き盛会でした。

東京から来ていただいた博報堂の瀬尾さんには、地域の自治体、企業をとりまとめてどのような商品開発が可能か、またビールによりどのようなコミュニティづくりができるかについて具体的な事例とともに多くの示唆を頂きました。BEER CITY SHIZUOKAという地域の価値・繋がりを発酵し続けるサステナブルなビールコミュニティ創造というご提案、誠にありがたいです。

フジヤマハンターズビールの深澤さんには富士宮におけるビール造り、そして発酵研と関わった中世グルートビール造りや今後のカラハナアソウビールの展望についてお話し頂きました。

横濱副所長には家康公クラフト一色だった今年一年の発酵研を振り返っていただき、コンテンツツーリズムについてご説明頂いたあと、『どうする家康』の大河ドラマツーリズムの分析と今後のクラフトビアツーリズムへの展望についてお話し頂きました。

その後の発酵研忘年会も盛り上がりました。

2023年12月20日(水)SBSラジオ「ゴゴボラケ」

発酵研のことをご理解くださっている橋爪記者にビールによる文理融合研究の可能性について丁寧にお話しくださいました。at-Sのウェブサイトでラジオで話されたことをご覧いただけます。ポッドキャストのプログラムにもなっており、ラジコのタイムフリーでも聞くことができます。ぜひご視聴ください

ヤチヤナギとカラハナソウの栽培方法、ヤチヤナギ散水・調査システムの操作方法

農学部の実験補助員の樋口さんに北海道から静岡大学に移植された絶滅危惧種ヤチヤナギとカラハナソウの栽培方法、そして人文避難広場に設置されたヤチヤナギ散水・調査システムの操作方法についてのインストラクション動画を作成して頂きました。発酵研メンバーはこれらの動画で方法を学び、栽培・繁茂に協力してもらっています。


2024年2月17日 ワインをめぐる飲酒文化と心理学

2024年2月17日に「ワインをめぐる飲酒文化と心理学」研究会を開催します。

日時: 2024年2月17日(土)14時~16時45分(13時30分開場)
場所: 人文社会科学部E棟101室

参加申込制です。 こちらからお申し込みください。申込みが定員に達しましたら参加の受付を終了させていただきます。【2024/02/19】お申し込みは終了しています。

以下のプログラムは現時点でのものです。変更の可能紙があります。

14:00-14:40
サン=テミリオンのワインの歴史と「テロワール」概念
加藤玄(日本女子大学文学部教授)
14:50-15:30
中世東中欧におけるワインの宗教的・文化的位置づけ
藤井真生(静岡大学人文社会科学部教授)
15:40-16:20
心がつなぐお酒と社会
橋本剛(静岡大学人文社会科学部教授)

当日の様子はこちらをご覧ください。