エフエムしみず「モーニングパル」出演 2024/04/23

エフエムしみず『モーニング・パル』内のコーナー「スクールインフォメーション “GUTS!!”」(7時15分~7月30分頃)、4月第2週から第4週まで、月曜日から水曜日は、静大・発酵とサステナブルな地域社会研究所のメンバーが出演しています。

4月23日は副学長である農学部の本橋先生にご登場頂きました。ご専門は植物分子遺伝学で、トマトの着色や光合成の活性化などわかりやすい説明がありました。人間は甘いものが好きなので、糖度をあげることによってトマトの青くささをなくし、フルーツトマトなどが食べられるようになったそうです。かつての金柑と清水産のこん太は別物です。

現在は文理融合による新しい研究分野を切り開くということで、稲作以前の縄文時代に人々が何を食べていたのかについてさといもに着目されています。縄文時代にひとびとはゆり根、どんぐり、栗、胡桃、あけびなどの植物、貝塚があったように魚介、冬は猪など食べていたようですが、お腹がいっぱいになり人口が増えるにはでんぷん質が重要で、芋が貢献していたのではないだろうかと推測されています。

縄文中期は今より2度暖かく、青森まで熱帯の食物があり、人々はでんぷん質の多いさといもを食べて人口を増やし、また縄文時代の終わりから弥生時代にかけて気候が寒冷化するなか、雪が溶けて土が凍らない温泉や水が湧いているようなところでさといもは生き延びたのではないだろうかとのことです。古いさといもがどこから来たのかについて、DNAを調べて、インドの北、ヒマラヤの下の里芋が遺伝的に近く、日本人はそこから歩いてもちこみ食べることになったのではと考えられています。自生地としては佐賀、島根、山梨、長野など何カ所か異なる場所にあり、インドのものと遺伝的に近いとのことです。

鹿児島でさといもによる焼酎がつくられていますが、縄文時代のさといも焼酎はつくれるのでしょうか? それには縄文さといもがどれくらい固いかえぐいかを調べる必要があります。県の天然記念物なので特別な許可を得て、研究用に使うという手続きを経て、静岡大学で栽培を始め、うまくいけばこの秋に市販のふつうのさといもと比較して、体に毒になるものはないかなど成分分析をします。そこから処理方法、にがみ成分を取り除き、発酵で悪いものをなくせるかなどを研究するなど、どのようにおいしいお酒がつくれるかがわかるにはステップを踏まなければなりません。安心して飲める縄文里芋焼酎をつくる野望を果たすには数年かかることでしょう。

古代の人々も神事でお酒を飲んでおり、木の実の果実による酒が土器のなかに見つかっています。縄文時代のお酒に近い製法によるお酒も飲んでみたいものです。昨年は家康公ブームに乗って発酵飲料づくりをしてきましたが、さらに遡った古代には古代米を使ってのお酒があり、学術的に何を古代米とするかは難しい問題ではあるが、今の人々とは異なり赤米や黒米といったいろんな色のお米を使い、今日の雑味のないお酒ではなく、雑味の混ざったお酒を飲んでいたのではないかとのことです。さといもはじめじめした川べりにいますが、山の方には山芋があるのでそちらにも関心があります。農学部の本橋研究室では発酵研のヤチヤナギやカラハナソウの植物を育ててもらっており、静大発の取り組みが今後もさらに広がっていきそうです。

昔の人の食生活を思い描くのは楽しく、また現代の甘いものを好む食生活を見直すきっかけになるかもしれません。身近にある植物から関心を持ち、発酵研の展開にも興味を持ってください。

エフエムしみずはサイマルラジオからも聞くことができます。ぜひお楽しみください。